ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

新・農業経営者ルポ

100haの稲作を目指し、川中から川上へ


「父も米屋だけではダメだといろいろ考えて創業したんでしょう。自社でコメを加工して使うことで、付加価値をつけられるようになった意義は非常に大きいですね」
ところで、鈴木自身は97年に大学進学のため上京。ゆくゆくは家業を継ぐことになるだろうから「将来役に立つような勉強をしておいたほうがいい」と考え、大学卒業後も東京に留まって、税理士資格の取得のために勉強していた。2002年に父が急逝。想像していたよりも早く家業に戻ることになり、丸屋本店とベストフーズの代表取締役に就いた。
山形空港のすぐそばに丸屋本店の低温倉庫と精米所、ベストフーズの工場がある。家業に戻った17年前は、15人の従業員が酢飯と白飯を山形県内のスーパーに供給していた。いまでは約30人の従業員がおり、1日に精米で300kgほどを炊く。顧客の多様なニーズに応えて、巻き寿司やいなり寿司、おにぎりなども手がける。山形県内のスーパーを中心に、仙台市まで米飯を届ける。20年以上の付き合いが続く店も多い。
ただし、15年ほど前から各店舗での自前の炊飯も増えた。こうした用途向けの炊飯器で良いものが出てきたこともあって、かつてに比べると米飯の供給量が減るようになった。その代わり、新しい顧客を開拓したり、新たに配送エリアを広げたりしている。とはいえ、人口減少に伴って米飯の消費量自体が減っていることもあり、頭打ちの状態だ。

伸びしろの大きい海外に進出

そんな状況下、着目したのが海外市場だった。人口の伸び率や経済成長率の高いところで勝負しようと決心し、2012年に香港に五星白飯有限公司を設立。生活の拠点を香港に移した。現地のスーパーや回転寿司店、寿司屋向けに1日に精米で5tほどを炊飯する。炊飯量は、東根市のベストフーズの17倍近くだ。
香港で炊飯するコメのうち、国産米の割合は1~2割。
「5年くらい前は、日本米の需要がなかったが、ここ数年は徐々に増えてきた」
現地で精米したものが入手可能になり、おいしいものが提供できるようになったのに加え、国産米の認知度向上の努力が実ってきたと感じている。国産米を現地で精米する業者から仕入れる。いまは酢飯を供給しており、今後はシャリ玉に成形したり、おにぎりの製造・販売まで手がけたいと構想は膨らむ。いずれ、稲2015の生産が拡大すれば、香港に輸出し、自前で炊飯することも考えたいという。
香港での炊飯事業はさらなる拡大を目指す。香港で消費されるコメの9割は長粒種のため、短粒種だけではなく、長粒種の炊飯も検討課題だ。ただ、長粒種には冷めると硬くなりやすく、そもそも単価が安いため利益の確保が難しいといった難点もある。

関連記事

powered by weblio