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特集

思いをかなえる「合同会社」という選択


【地域の景観と産業を守るため地元有志が立ち上がった】

2018年5月、観光型ワイナリー「新鶴ワイナリー」が令和の時代とともにオープンした。大きな窓から光が射しこむ開放的な施設では、会津美里町産のブドウで造ったワインを販売している。ワイナリーを運営するのが3年前に設立された会津コシェル。代表社員の木村俊一さんは「醸造免許の取得が予定より遅れたためにオープンが延びてしまいましたが、2020年以降のインバウンド需要などを取り込むためにも早く開業したかった。近くワイナリー内にレストランをオープンする予定で、今から存在をPRしていけば、インバウンド顧客争奪戦にまだ間に合う」と語る。
会津美里町新鶴地区(旧新鶴村)はワイン用ブドウの産地として知られる。40年ほど前からメルシャンの契約栽培地として白ワイン用ブドウ「シャルドネ」を生産してきた。新鶴地区のシャルドネを使ったワインは、国内外で数多くのコンクール受賞歴を誇る。地元には「ブドウの丘」とも称される美しい傾斜地の風景が広がっている。だが、担い手の減少や高齢化によりシャルドネ農家が減少して耕作放棄地が増えたことで、美しい景観が壊れ始めた。地元の危機を前に立ち上がったのは農業者ではなく、建設、瓦屋、工務店、大工、販売業、産廃業の人たちだった。
「美しい景観を生み出すブドウ畑の再生、ワイン技術の伝承を地元に寄り添う形でやっていく。そのためには法人化が必要だと思いました。なぜ株式会社ではなく合同会社だったかといえば、有限責任は同じでも設立・ランニングコストが安価で、事業管理や運営も株式会社よりは楽。出資は社員の自己資金で賄い、外部からの資金調達は考えていませんでした。企業化の最初としてはおススメです」
実は会津コシェルには前身となる任意団体があった。町づくりのため、2014年に補助金を得てカフェ事業を始めていた。

【合同会社化で仕事の幅が広がる】

2016年に合同会社化した結果、「仕事の幅が広がり、事業推進のスピードが増した」という。同社は地元物産館の指定管理者に選ばれ、その実績をもとに町(行政)との関係が強まり、町の施設を醸造施設にすることができた。ワイナリーのオープンこそ予定より延びたものの、当初の事業計画は前倒しできている。とはいえ、業務執行社員の小林章太郎さんは、事業安定と拡大のための経営課題を二つ挙げる。
「景観を守り、経営を安定させるためにワイン用ブドウの農地を倍の3haに増やしたい。年間3万本の生産体制にしないとワイナリー経営は成立しないからです。将来的にはワイン畑の美しい景観を活かす宿泊施設も手掛けたい。事業の多角化で必要になるのが、ブドウ畑の生産管理、レストランのシェフ、経理といった部門部門を任せられる責任者です。地元の地域おこし協力隊の方々も手伝ってくれていますが、コア人材は自社で抱えたい。地元に限らず、退職後に農業をしたい方や都会や他県の人材を探しています」

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