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ラウンドアップ裁判の深層分析

農薬メーカー側を支持する全米の生産者団体と農業州の共和党議員

ラウンドアップをめぐる裁判、論争には日本では報道されない二つの側面がある。前編(2019年7月号特集)では、弁護士業界にとって巨額収入が見込める「訴訟ビジネス」としての側面を解説した。今回はもう一つの側面について迫りたい。メーカー側を全面支援する声や活動が全米の生産者に広がっている点である。 文/浅川芳裕

農薬メーカーと共に戦う2大勢力

一連のラウンドアップ訴訟で敗訴が続く中、被告の米農薬大手モンサント(現在は独バイエルによって買収)は孤立無援のように見えるが、決してそうではない。米国では一貫して農薬メーカー側を支持する2大勢力がある。全米の生産者団体と農業州の共和党議員だ。
生産者団体の視点から説明しよう。
彼らはラウンドアップ問題が始まって以来、メーカーと共に戦ってきた。戦う相手は大きく3つある。一つ目は農業への規制強化を推進する民主党左派やその支持基盤である反バイオテクノロジー(反GM・反農薬)活動家グループ、次に本記事前編で取り上げたラウンドアップをネタに荒稼ぎする弁護士、そしてカリフォルニア州の規制当局である。

超リベラル州のカリフォルニアが新たな規制に手を出したら最後

なぜカリフォルニア州なのか。前編で記したとおり、これまで敗訴した裁判はすべてカリフォルニア州の裁判所判決である。カリフォルニア州といえば、米国内でも突出する超リベラル州であり、過激な消費者運動や環境保護運動のメッカである。そして、裁判に影響を与える州の司法長官から裁判官まで、多数派がリベラルな民主党員なのだ。とくに社会主義的な民主党左派となれば、バイエルといったグローバル企業に対する偏見も大きい。そんなわけで農業が盛んな中西部等の保守州生産者からすれば、トンデモ規制や判決が生まれる場所という悪評が定まっているのがカリフォルニア州なのだ。
米国を代表する農業メディアwww.agri-pulse.comのコラムでも、同州はこう評されている。
「農業界ではよく知られているように、カリフォルニア州が新たな規制に手を出したら最後、全米が破滅の道をたどることになる」
この記事の続きを見てみよう(一部抜粋)。
「今回のカリフォルニア州で下ったラウンドアップ裁判も同様だ。その結果を受けて、すでに全米の弁護士が私腹を肥やすために、農場主や牧場主に対する訴訟の準備をしている」
「このままでは(ラウンドアップを使う)全米の農業界全体が訴訟攻撃を受けることになる」
「生産者のポケットに手を突っ込んでまで儲けようとする攻撃的な弁護士たちに狙われてしまうと、我々が現在、防除で利用している最高の技術や資材を使えなくなってしまう」

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