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ラウンドアップ裁判の深層分析

農薬メーカー側を支持する全米の生産者団体と農業州の共和党議員


「グリホサートに発がん性物質の警告表示をすることは、製品に関する虚偽記載であり、同州の法律で強要されるとなれば、それは米国憲法修正第1条違反に当たる」
どこが修正第1条の違反なのか。同条は「表現の自由を制限する法律を定めてはならない」という主旨だ。つまり、カリフォルニア州法によって、グリホサートに発がん性がないにも関わらず、あるかのような虚偽記載を強要するのは企業の表現の自由を制限するものだという主張である。また、訴状では、第14修正条項違反にも当たるという。これは、法の適正な手続きを定めた条項である。グリホサートは連邦法(FDCA:連邦食品医薬品化粧品法)に基づき、登録され、法に基づくラベル表示を行なっており、カリフォルニアの州法がその内容を覆すのは違憲だという訴えだ。
この訴えに対し、2018年2月28日、ウィリアム・シャブ米連邦地方裁判所裁判官が下した判決文は以下のとおりである。
「カリフォルニア州が企業にがん警告を強制する場合、警告は事実に正確で誤解を招かないものでなければならない」
「グリホサートが実際にはがんを引き起こすことは知られていないという証拠の重さを考慮すると、要求されている表示は事実上、不正確であり、誤解を招くものである」
こうして、原告側が求めていたラベルへの警告義務の仮差し止めは受け入れられた。判決の直後、原告代表の全米小麦生産者協会のチャンドラー・ゴウル会長は「シャブ判事の判決を祝福し、米国の生産者に損害を与えるカリフォルニア州の陰謀的な政策をこう非難した」「グリホサートが安全に使用できることを示す証拠と科学は我々に味方しています。我々農業者はカリフォルニア州による虚偽で誤解を招く州法プロポジション65の表示義務に反対し、米国農業を擁護していきます。今回の仮差し止め命令は米国農業界にとっての勝利です」(agri-pulse記事)
生産者にとってこの裁判で幸運だったのは、シャブ裁判官が共和党保守派だったことだ。保守派は反農薬といったリベラルな主張に流されず、あくまで合衆国憲法の精神に則った判断を下すからだ。シャブ氏は共和党政権のジョージ・H・W・ブッシュ大統領時代(1989~93年)に任命された、カリフォルニア州東部地区裁判官として最長の任期を務めている人物である。
判決に先立つ2018年1月3日、農業が盛んな保守州の司法長官からも警告表示の仮差し止めを求める意見陳述書がシャブ裁判官に提出されていた。ミズーリ州のジョシュ・ハウレイ司法長官がまとめたもので、以下10州(アイダホ州、インディアナ州、アイオワ州、カンザス州、ルイジアナ州、ミシガン州、ノースダコタ州、オクラホマ州、サウスダコタ州、ウィスコンシン州)の司法長官も署名した。

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