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藤田 なるほど、たしかにおっしゃるとおりですね。これまで、法人化したり、社会保険に加入したり、就業規則を整えたり、“選ばれる農業法人”を目指して準備を進めてきました。そういえば、いつの間にか日常の業務に思いが埋もれていました。これを機に、先生にもアドバイスもらいながら、もう一度農業経営を見直します。
今回の執筆者
瀬戸山 匠(せとやま たくみ)
(有)人事・労務小商いプロデューサー/(一社)日本ES開発協会事業開発室長/われらまちの農縁団
地域活性化マルシェの企画・運営を統括。「人に地域に環境にやさしい持続可能な社会を目指して」をテーマに、グリーン企業が集まる勤労感謝イベントや、「日本の未来のはたらくを考える」をテーマに日光街道143km踏破イベントを開催。埼玉県春日部市に実在する農園「縄文ファーム」の園長でもある。
「選ばれる農業経営」を目指す好機に
家族経営から農業組織経営へと移行するうえで、「雇用」という契約環境の変化は大きいのではないでしょうか。家族経営であっても農繁期にアルバイトを雇う方も多いと思いますが、やはり「人件費」は経営を圧迫する大きな要因となります。農業経営を持続するためにも、人財はまさに「肝」なので、特に家族以外に事業継承を考えている農業法人においては「雇用」という選択肢を推奨しています。
【最賃上昇だけにこだわらず】
今年も10月より最低賃金が引き上げになり、全国平均で前年度比27円上昇で901円と、初めて900円を超えました。最低賃金の改定では、所得や物価などを基準に、都道府県をA~Dの4ランクに分類し、ランクごとの値上げ目安を決定しています(下表)。2019年度の引き上げの目安は東京や神奈川などAが28円、Bは27円、CとDは26円。しかし、低賃金が地方の貧困や人口流出につながるとの危機感は強く、鹿児島などDランク16県のうち、目安どおりの引き上げにとどめたのは3県だけでした。つまり、所得や物価の基準が低い地域ほど、目安である値上げ金額よりも数円値上がりしている県の割合が高いということです。
単純計算してみましょう。最低賃金が26円上がるということは、仮に最低賃金でアルバイトを2名雇っていたとすると、1日平均8時間労働で月25日間だと、1人当たり5,200円、2人合わせて10,400円人件費が上昇することになります。日本商工会議所によると付加価値に占める人件費の割合である「労働分配率」は、大企業が44%なのに対し、中小企業では73%にのぼるとされます。特に、農業は労働分配率の高い業種ですので、最低賃金の上昇による影響は大きいでしょう。
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矢萩大輔 ヤハギダイスケ
(有)人事・労務
代表取締役
大手ゼネコン勤務後、1995年に社会保険労務士として都内最年少で開業。起業支援ポータルサイト「ドリームゲート」アドバイザーとして新規就農にも相談に乗っている。農業を通したリーダーシップ研修の場として自社農園「アルパカファーム」を運営。八戸農業ビジネスナイトセミナーや、FM東京「あぐりずむ」の出演プロデュースなども。著書『脱家族経営!若者に魅力ある農業経営のレシピを教えます。』ほか。
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