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アルパカファームの経営・労務事件簿

最低賃金引き上げと農業経営


だからといって、農業経営の組織化を諦めたり、雇用に消極的になってしまうことはお勧めできません。大切なのは、人を育てて経営を安定させることです。言い換えれば、農業は規模の経済性が強い業種でもあるので、一定の耕作面積を確保するまでは、農業において人財を育てることは生産性を高めることに直結します。また、機械への再投資を年々計画的に行ない、粗利(=売上高―売上原価)を増やし、先々、AIの導入などアグリテックを活用することで、労働分配率は下げることができます。

【ビジョンから逆算して人を育てる】

今年度の最低賃金上昇によって、全国都道府県の最低賃金の最高額と最低額の差は前年度比1円減の223円に縮まって、03年度以来16年ぶりに格差が縮小しました。都道府県別の最高額は東京の1,013円で、神奈川とともに初の1,000円台に乗せ、一方、最低額は鹿児島など15県が790円で並びました。
最低賃金が上がることは、農業経営者としてはネガティブな要素が多いように感じます。しかし、「農業だから」「第一次産業だから」という業種的な特別感は世間的には薄まり、農業法人も若者の就職先のひとつとして選択肢に入っている印象を受けます。
とはいえ、その選択肢に入るのは、全国にある農業法人の一握りであるというのも事実です。選択肢に「入る」「入らない」の違いには様々な要素がありますが、ひとつの要因として、賃金水準や福利厚生(社会保険の整備など)、労働時間などの労働条件が挙げられます。
「選ばれる農業法人」を目指すのであれば、最低賃金だけ支払って済ますわけにはいきません。より高い賃金水準に見直すのは必須だと言えます。
逆に言えば、賃金水準を上げるだけではダメで、福利厚生の整備や労働時間・労働日数・賃金制度の見直し、そして理念やビジョンの明確化がなければ、「選ばれる農業法人」への移行は難しいでしょう。
雇用に関して大切なのは、経営の段階を見極めることです。むやみやたらに雇用し「人を増やせばよい」ということではなく、ビジョンやミッションから逆算して、計画的に雇用し人を育てることが重要です。人を育てる視点を持って、経営を整える必要があります。

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