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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
エストニア フランスに次ぐ欧州第二位の生産国へ
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第21回 2019年08月30日
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食用油事業に特化
エストニアにも欧州の他国と同様に、帆船のロープや布のためにヘンプを栽培・加工してきた歴史がある。13~14世紀には北海、バルト海を中心とする貿易を独占し繁栄を極めたハンザ同盟都市の1つとして、ヘンプ製品をオランダへ輸出していた。
2004年にEUに加盟して以降、EU規則No1673/2000に基づいて、マリファナの主成分であるTHCが0.2%未満の品種であれば栽培できるようになった。最初にヘンプの試験栽培に手を挙げたのは、05年に設立されたPerfect Plant OU(以下、P社)だ。初年度は6haに種を播き、ノウハウを持つドイツのノバ研究所とヨーロッパ産業用ヘンプ協会(EIHA)の協力を得て、繊維事業の可能性を検討した。しかし、小国エストニアでは、加工施設への投資金額とその運営に少なくとも1000ha規模の生産が必要になることがネックとなり、食用油事業を対象にすることになった。
そこで翌06年には、エストニア農業省ヨゲヴァ植物育種研究所の協力を得て、ヘンプの油糧用品種フィノーラ(Finola)を栽培した。シベリア由来のこの品種は当初FIN-314(本誌19年4月号ロシア編に掲載)と呼ばれていたが、03年にフィノーラと改名して品種登録された。栽培してみたところ、同国の気候に適していたことがわかった(図1)。07年には、7つの農家が参加して合計150haで商業栽培を開始すると同時に、P社は同品種の独占的な代理契約を結んだ。
なかでも初期からプロジェクトに参画し、最も有名なヘンプ農場として知られているのがタンメジュレ有機農場である。両親と娘2人が中心の家族経営で、01年に有機認証を取得し、600haの畑に小麦、オーツ麦、ライ麦、エンドウ豆、菜種、ケシを栽培している。08年からヘンプ栽培を開始し、12年に加工・搾油施設を導入し、いまではその作付面積は約70haに及ぶ。
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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