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マンレポは、その出馬表に相当する。オッズなしの出馬表と例えた方が分かりよいか。通常、予想オッズなしの出馬表など誰も相手にしないが、マンレポの場合は、米の取引で参考にすべき統計資料が満載。
毎月公表されるマンレポは、単行本1冊になるぐらいのボリュームがある。A4サイズのペーパーにプリントアウトすると、本編で特集記事を含めて約90ページ、資料編で同70ページもある。それに圧倒されて食わず嫌いの方が多くいるようだが、コツさえつかめば、誰でもマンレポを読み解くことができる。
米穀需給班担当者に、「ワンストップで分かるページはどこか」と単刀直入に聞いたら、マンレポのエンジン部分となる統計資料3点を示してこられた。8月9日公表の「令和元年8月号」で説明する。時系列で整理してもらうため、西暦で表記しておいた。各項目後に記したページは8月号での該当部分のことである。
(1)【集荷・契約・販売情報】P5~14▽18年産米の産地別契約・販売状況(累計、うるち米、19年6月末現在→速報)
(2)【在庫情報】P15~25▽([1]全国段階の民間在庫の推移(うるち米、12年7月末~19年5月末→速報)、[2]産地別民間在庫の状況(前年同月比)、[3]17、18年産の産地別民間在庫の推移→速報
(3)【価格情報】P26~30▽[1]相対取引価格(年産別)、[2]価格帯別分析結果(19年5月)、[3]相対取引価格・数量(18年産米、産地品種銘柄別、19年5月分→速報)
いずれも農水省「米穀の取引に関する報告」(米穀取引報告)が出所。これは全農、道県経済連、県単一農協、道県出荷団体(年間の玄米仕入数量が5000t以上)、出荷業者(年間の直接販売数量が5000t以上)に報告を求めたもので、流通量全体の「ざくっと6割程度」(農産企画課)。これだけカバーすれば正確な傾向をつかむことはできる。
マンレポ活用で宝の持ち腐れ解消
マンレポ担当者が工夫したのは価格情報だ。コメ価格センター解散を受けての誕生だけに、国が認可する市場の公表可能な価格情報は不在。それらしきものとして全農と主要卸が話し合って値決めする「相対取引価格」を参考にした。米穀取引報告で提出を義務づけているものだ。
ただ流通する米全体をカバーするものではない。これも米穀取引報告と同様に年間5000t以上扱う出荷団体と出荷業者が対象。こちらも「ざくっと6割程度』(農産企画課)をカバーしている。業者間のスポット価格や先物価格を掲載することで市場実態に近い価格情報を提供することができた。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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