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今年の市場相場を読む

ピークから急降下した小物野菜 カイワレ/ワケギ/パセリ/食用菊

「小物・特殊野菜」(つま物野菜や季節的な野菜)は、大雑把にいえば、昭和60年代に入ってから徐々に減り始め、平成の4~5年以降のバブル経済崩壊とともに、急減していくのである。ただし、生産の増減がそのまま市場入荷推移に反映され、影響を受けるわけではない。そのため、「生産量」のピークが市場入荷量としてもピークとなるとは限らないし、市場の入荷動向はさらに複雑である。ここで示すデータは、日本最大の消費地に立地し、最大の集荷能力を誇る首都・東京市場のものであるため、全国生産量の減少傾向はリアルタイムで反映されない。その数字が乖離する現象は品目ごとに物語がある。

カイワレ 28年間で8割以上減った「出世野菜」、「事件」は20年を経て若年層に需要

【概況】
農水省の調査では、カイワレのピークは1990年、全国で1万8270t生産された。この年、東京市場には4960tが入荷してキロ単価は280円。それが28年後の2018年の東京市場には84%減って801t、8分の1に激減した。単価は2.4倍の673円だ。ところが、全国の生産動向と東京市場の入荷動向には大きな違いがある。東京市場の入荷のピークは、5年前の85年の6267tである。
【背景】
カイワレには非常に劇的な歴史がある。昭和50年初頭にスーパー競合戦争が展開し、つま物野菜が店舗・商品差別化のターゲットになった。そのときの出世頭がオオバとカイワレである。もやし業者が一斉に生産を開始すると入荷が急増。東京市場ではカイワレの統計を83年から独立させた。その年の入荷は3900tで2年後に約6300tと史上最大量が入荷。以降、漸減が続き95年に3500tまで減ったところで、あの事件が勃発するのだ。
【今後の対応】
96年7月、学校給食で死者3人を出すO-157食中毒事件が起こり、最初はカイワレが原因だと疑われた(後に不起訴)。事件直後からカイワレは小売店頭から姿を消し、翌97年には年間809tと8割もの急降下。その後、2018年までの20年間はずっと横ばいだったが、入荷減で単価が高騰するのは業務用需要が底堅いから。一方、20年を経過してスーパーでの品ぞろえ商品に定着した。事件を知らない若年層が抵抗なく評価し始めている。

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