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今年の市場相場を読む

ピークから急降下した小物野菜 カイワレ/ワケギ/パセリ/食用菊



ワケギ 統計上はピーク時の5%しか残らず、本来「葉ネギ」であることを生かせ

【概況】
ワケギの生産ピークは1978年の1万6900tである。一方、東京市場におけるワケギの入荷ピークは、統計的には85年、ここでは生産ピークに近い81年の統計を採用している。生産ピークと東京市場への入荷ピークには7年もの差があるが、生産ピークと入荷ピークを2018年と対比すると、ピーク時のわずか4~5%(東京市場で168t)に激減。さらに86年に前年比43%減という事件が起こる。
【背景】
ワケギには謎が多い。ひとつは86年に「ワケギ」に分類されていた「小ネギ」が独立統計になった(約2700t)。“ワケギ”で入荷したものは、学術的には葉ネギの一種の「ワケネギ(分け葱)」であり、ワケギと呼ばれるものはタマネギの仲間。だから、千葉産の「あじさいねぎ」や関西での「九条ネギ」などの「青ネギ」は「ワケネギ」(葉ネギ)であり、「博多万能ねぎ」などの小ネギは若どりの葉ネギである。植物分類に沿う統計名変更が待たれる。
【今後の対応】
そして2003年にワケギの入荷が前年比54%も減るという“事件”が起きる。ワケギの7割のシェアを持つ千葉産「あじさいねぎ」はワケギではないと言い、この年、千葉産ワケギは540t減り、小ネギが200t近く増えた。いま関東ではワケネギ、葉ネギの需要が伸びてきた。葉ネギをたっぷり使ううどんチェーンの丸亀製麺では関東に葉ネギの契約産地を持っているし、いまや小売店や業務用でも「九条ネギ」が必須アイテム。葉ネギの香りと辛味の復権である。

パセリ 生産量の25%以上が東京市場集中型、業務用の鉄壁需要だけでなく普及を

【概況】
パセリの生産最盛期だったのは1992年で1万1332tである。東京市場の同年の入荷量は3057tで、生産量に占める東京市場の割合は27%。カイワレも同率、ワケギの25%と並んで東京集中型の品目だ。生産量は20年後には6割減り、その4年後にさらに43%減った。ピーク時の4分の1だ。東京市場への入荷量、94年対2018年でも同様である。激減した割には単価は2倍にしかなっていない。そこに問題が潜んでいる。
【背景】
業務用需要に特化してきたパセリは、あらゆる外食産業で最も多用される添え物であり、“食べない野菜”の代表格。そのパセリの生産最盛時期が、ちょうどバブルが弾け始めた94年だ。それから始まる果てしない不況を予測したかのようで興味深い。現にそれから十数年は、コストカット競争時代となり、“飾りだから食べない”ものは真っ先に削られた。象徴的なのは平成20年前後、ツマ物などを“使い回す”船場吉兆等、賞味期限偽装などが発生した。

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