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江刺の稲

台風15号の被害を聞いて考えた

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第279回 2019年10月01日

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15年に現地研究会を予定していた茨城県境町の塚原牧場(塚原昇さん)の水害と言い、今年の小泉さんと言い、なんでトウモロコシに取り組む仲間が災害を受けるのだ。未来を見つめればこそ、補助金目当てではなく、行政の支援も受けないでチャレンジする経営実験。投資もばかにならない。まだ利益など見込める段階ではない。それでもあきらめない彼ら。でも、小泉さんの今の姿を後継者はきっと見ているはずだ。幸運の中にいる彼ではなく、困難を親はどのように乗り越えていくかをこそ子供は見ているはずだ。彼は電話の先で笑って言ってくれた。
彼らの水田での子実トウモロコシ生産へのチャレンジは、間違いなく未来の日本農業の可能性を切り開くものだ。文字通り自らリスクを背負って行なう彼らの経営実験にこそ政策的な支援が必要なのではないだろうか。
日本各地を襲う自然災害はかつてよりその頻度を増し、しかも苛烈になっているように思える。台風、地震、火山の噴火、集中豪雨、津波、そして自然災害とは言えないが原発事故とそれに伴う風評被害。さらに昨年の北海道胆振東部地震や今年の台風15号での広域で長期間にわたる停電、断水など。我々の便利な日常を保証するインフラを麻痺させ、二次災害に見舞われる。30年以内に大地震が起きるという予想も含めて、こうした変化にもかかわらずそれに対する人々の認識だけでなく国家的な備えも不十分というべきではないだろうか。
コメの緊急輸入という事態も招いた93年の大冷害から26年しか経っていないが、新品種の開発や農薬技術の向上によって冷害常襲地域でも被害はほとんどなくなった。技術で克服できるものもある。人間の力では如何ともしがたい自然の猛威は避けられない。しかもこれまでの常識を超えた災害が発生するだろう。農業を取り巻く情勢は大きく変化しているのと同様に、人も政策も過去の結果の現在にしがみついていてはだめなのだ。

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