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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

事業拡大と経営者の自己実現(3)


お金をかけずに、小さい予冷庫、古い冷蔵庫を集めても、朝から晩まで働かなければならないサイクルから抜けるのは難しい。人が来てくれるのなら道具を揃える。その投資ができなければ、働き手の条件に合わせた経営はやれないのだ。
アスパラガスのハウス増棟に伴って3年後以降に増えると推定される労働時間は、年間で約3000時間。就業規則どおりの1人当たりの労働時間は2000時間前後だから、単純に計算しても2人以上の増員が必要ということになる。しかも、10~3月までは仕事がないから、難しい。新たに人を増やすことと並行して、ますます人件費を抑える努力を求められている。

対価・報酬が低いままでは農業の可能性は広がらない

近くに親戚ではないが同じ苗字の「サイトウファーム」という農場がある。麦とタマネギを生産する法人経営でありながら、テイクアウトのジンギスカン屋を始めるために羊を飼っては「やっぱり家畜がいないと農業ってダメですね」と同じようなことを言い合える。剥きタマネギの合弁会社を立ち上げたり、羊のグッズを作ったり、話を聞くたびに何か面白い取り組みを始めていて、私も負けじと頑張ろうと思わせてくれる経営者仲間だ。
彼らと話していると、農業にはまだまだ可能性があると感じるのだが、充実した経営の規模拡大を目指すなら、一方的に牛でいえば頭数、畑でいえば面積での規模拡大ではなくて、人を軸に据えたやり方があると思う。農業では、そこを後回しにして、ギリギリまで自分で稼いで足りないところを都合よく埋めたくなる。でも、田植えの時だけ苗運びに来てくれる人も、収穫物があるときにだけダンプの乗ってくれる人もいなくなり、ますます限られた人材を取り合う厳しい時代に突入する。
労働対価は、他の産業に比べて高くないが、低いわけでもない。人件費を抑えるために賃金単価を抑えたら、不平不満になるのは間違いない。大型の作業機を操作できるのであれば、それなりの単価になるはずである。その金額を払える農家はまだ少ない。戦国武将の武田信玄公の格言「人は城、人は石垣、人は掘、情けは味方、仇は敵なり」に習い、信頼できる人の集まりこそ頼りになるのだ。農業には、まだまだツライ、キタナイというイメージがある。しかし、器用にいろんなことができる人たちこそ、農業経営を助けてくれるのだから、彼らが働きに見合う対価を得られる業界にならなければいけないのだ。もっと農家を一般化したい。農業がいつしか、安い賃金や過酷な労働の代名詞から外れたらいいなと切に願って、まずは自分の経営で進めていこうと決めている。

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