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【土門「辛」聞】
「新之助」PRの県予算5億円は歌舞伎俳優襲名へのご祝儀か
- 土門剛
- 第181回 2019年10月01日
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金色の風・銀河のしずく、だて正夢、雪若丸、新之助、富富富、ひゃくまん穀、いちほまれ、くまさんの輝き。この2、3年でデビューした各産地自慢の新しいブランドを北から並べてみた。
このうち消費者への認知度ということなら、新潟県が開発した新之助に及ぶものはない。新潟県が税金を湯水のように使ってPR作戦を展開したからだ。実際、都内のスーパーの米売り場をチェックしていて目に付くのは、この新之助だけ。米の評価もまだ定まっていないというのに、新之助を原料に使った米菓や化粧品など関連商品も次々と出てくる。圧倒的な存在感だ。
次いでユニークなネーミングで産地名がすぐ分かるのは、認知度抜群の県の公式キャラクターくまモンを冠した熊本県の「くまさんの輝き」か。ただ先行の「森のくまさん」があまりにも有名すぎて、後発の「くまさんの力」が追いつけないところに「くまさんの輝き」が登場するものだから、消費者はただ混乱するだけかも。
宮城県の「だて正夢」は、郷土の英雄・伊達政宗をもじったものだ。これが分かるのは、宮城県人以外にはたしてどれだけいるだろうか。
石川県の「ひゃくまん穀」は「加賀百万石」をヒントにしたのに、妙なところで仮名にしたり漢字を使ったりしたので、産地名を思い浮かべることができなくなってしまった。それにしても引っかかるのは、「穀」を使ったこと。この漢字を目にしたら、消費者は「雑穀」のことを思い浮かべてしまうのではないかな。
ネーミングだけで産地名が思い浮かばないのは、金色の風・銀河のしずく、雪若丸、いちほまれだ。順に岩手県、山形県、福井県の新しいブランドだ。
まず金色の風・銀河のしずく。2020東京オリパラを意識して金銀の漢字を使ってきたわけではなさそうだ。「金色」は、世界文化遺産の中尊寺金色堂がモチーフ。「銀河」のことは、岩手生まれの詩人・童話作家の宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」がモチーフになったことが分かるだろう。
山形の「雪若丸」は、新ブランド米の先輩格になる「つや姫」の弟格というストーリーで紹介されている。つや姫は山形を代表する米に成長。その弟分ということでマーケットにどれだけ浸透するか。見所はそこだ。
次いでユニークなネーミングで産地名がすぐ分かるのは、認知度抜群の県の公式キャラクターくまモンを冠した熊本県の「くまさんの輝き」か。ただ先行の「森のくまさん」があまりにも有名すぎて、後発の「くまさんの力」が追いつけないところに「くまさんの輝き」が登場するものだから、消費者はただ混乱するだけかも。
宮城県の「だて正夢」は、郷土の英雄・伊達政宗をもじったものだ。これが分かるのは、宮城県人以外にはたしてどれだけいるだろうか。
石川県の「ひゃくまん穀」は「加賀百万石」をヒントにしたのに、妙なところで仮名にしたり漢字を使ったりしたので、産地名を思い浮かべることができなくなってしまった。それにしても引っかかるのは、「穀」を使ったこと。この漢字を目にしたら、消費者は「雑穀」のことを思い浮かべてしまうのではないかな。
ネーミングだけで産地名が思い浮かばないのは、金色の風・銀河のしずく、雪若丸、いちほまれだ。順に岩手県、山形県、福井県の新しいブランドだ。
まず金色の風・銀河のしずく。2020東京オリパラを意識して金銀の漢字を使ってきたわけではなさそうだ。「金色」は、世界文化遺産の中尊寺金色堂がモチーフ。「銀河」のことは、岩手生まれの詩人・童話作家の宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」がモチーフになったことが分かるだろう。
山形の「雪若丸」は、新ブランド米の先輩格になる「つや姫」の弟格というストーリーで紹介されている。つや姫は山形を代表する米に成長。その弟分ということでマーケットにどれだけ浸透するか。見所はそこだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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