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「ワーカーの人数をできるだけ少なくできる製品を開発しているんだ。ロボティクスや自動化、AIで将来的には無人農場を作ることが我が社のビジョンだね」(同)
【将来のために 潜在マーケットに目を向け、製品を開発する】
同社では、パプリカ、トマト、キュウリ、花、植物工場、集中型養鶏場に製品を投入している一方、常に新しい潜在マーケットにも目を向けている。
「いまは産業用ヘンプも重要作物。米国やカナダでは薬として使っていて、南アフリカやギリシャなどEU諸国でも寛容な国が増えてきているんだよね。子どものてんかん治療に使われる国もあるんだよ。それ以外では、ベリー類やサトウキビ、ワサビ、バニラの温室栽培にも注目している。
じつは、オランダでワサビを栽培している農家が1軒あるんだよ。ニッチマーケットだけど、気候変動で栽培できる環境が変化している。すぐにどこのマーケットにも応えられるよう常に視野を広くしているよ。ステビア(天然由来の甘味料)なんかは新しい巨大マーケットだ。気候変動は生産者が投資する大きな原動力になるんだよ」(同)
同氏の発言では何度も「将来のために」というフレーズが出てきた。たとえば、今年6月にアムステルダムで開催されたGreen Techで、イノベーションアワードを受賞した同社のRidder NoNa+は選択性膜と電気透析技術を組み合わせ、排水から有害なナトリウムを除去するシステムだ。
「水に含まれるナトリウムを除去する製品は、いま現在は多くの人に必要がないかもしれない。でも、将来的には必要になることを見越して開発したんだ」(同)
【先端技術で若者を農業に引きつける】
もう一つ「将来のために」必要なことがある。それは、ワーカー不足もさることながら、オランダでも後継者や新規就農者不足が問題になっていることだ。そこで、2018年にWorld Horti Centerが開設された。この施設は、約70社の施設園芸関連会社や育種会社のブースがあるほか、6400平方mの敷地に36の異なる区画があり、企業の研究部門などが試験栽培を行なっている。それだけではなく、人材不足の解消を目指し、MBO(中等職業教育)とHBO(高等職業教育)が内設されており、16~21歳の1200人の園芸施設科の学生が毎日通学してくる。
「最先端の技術に近くで触れることで、若い世代に農業(園芸)に興味を持ってもらうことが目的なんだ」(同)
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紀平真理子 キヒラマリコ
1985年、愛知県生まれ。2011年、オランダへ移住し、食や農業に関するリサーチ、本誌や馬鈴薯専門誌『ポテカル』への寄稿を開始。2016年、オランダVan Hall Larenstein University of Applied Sciences農村開発コミュニケーション修士卒業。同年10月に帰国し、農業関連記事執筆やイベントコーディネート、海外資材導入コーディネート、研修・トレーニング、その他農業関連事業サポートを行なうmaru communicateを立ち上げる。今年9月、世界の離乳食をテーマにした『FOOD&BABY 世界の赤ちゃんとたべもの』を発行。食の6次産業化プロデューサーレベル3認定、日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。
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