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じつはBoy氏は、木工職人になろうと思って勉強していた。
「Tussenjaarという進学の間に何か体験する期間(注:高校卒業後から大学進学までの間に1年間休む場合が多い)に、施設園芸の会社で働いたらすっかりハマってしまってね。手を動かしてモノを作り出すことも好きだけど、最先端のテクノロジーに魅了され、施設園芸の世界に踏み込んだんだよ。この施設がなんらかのきっかけになり、僕のような若者を一人でも増やせればと願っているよ」(同)
Part3 外から注目を集め、外に進出するオランダ人のたくましさ
【Floating Farm訪問】
世界中から注目を集めている「水上にある牧場(Floating Farm)」。ここに友人であり、Floating Farmのオープン当時に勤務していたLaura Nobel氏(写真)と訪問した。同氏は現在、ヴァーヘニンゲン大学の動物科学学部で畜産システムを専攻している。副専攻はヨーロッパでの畜産管理で、その副専攻でFloating Farmを舞台に都市型畜産農業に関するリサーチを実施した。専攻分野の「温室効果ガス間の取引と、中国の酪農分野での循環性の改善」を研究しており、中国にも3カ月ほど滞在予定だ。
さて、本題に戻すと、Floating Farmはアムステルダムに次ぐ第二の都市、ロッテルダム市郊外にある。名前のとおり水上に作られており、可能な限り閉じられた状態のなかでの循環性や自給自足、持続可能性を目指す都市型農業だ。構造は、水上部は2階建てになっており、2階に乳牛がいるのだが、1階には受付や加工場、従業員更衣室、飼料保管場所、糞尿保管場所がある。水上の牧場部分は600平方mで、牛が橋を渡って自由に行き来できる陸地の牧草地は3000平方mになる。乳牛1頭当たりのスペースは約15平方mで、法的に必要な面積の2倍に設定している。
【水上で規模が小さいから糞尿管理は大切】
訪問時には36頭のMaas-Rijn-Ijssel (マース・ライン・アイセル)という成牛がいた。この品種は乳量が多いうえ、病気にかかりにくくて丈夫だと知られている。平均で1日に25リットル搾乳ロボットで搾乳できる。給餌も自動化されているため、生産者1人と主に一般訪問客の案内役となるボランティア数名で管理していた。オランダでは100頭規模でも家族のみで営農している場合が多い。
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紀平真理子 キヒラマリコ
1985年、愛知県生まれ。2011年、オランダへ移住し、食や農業に関するリサーチ、本誌や馬鈴薯専門誌『ポテカル』への寄稿を開始。2016年、オランダVan Hall Larenstein University of Applied Sciences農村開発コミュニケーション修士卒業。同年10月に帰国し、農業関連記事執筆やイベントコーディネート、海外資材導入コーディネート、研修・トレーニング、その他農業関連事業サポートを行なうmaru communicateを立ち上げる。今年9月、世界の離乳食をテーマにした『FOOD&BABY 世界の赤ちゃんとたべもの』を発行。食の6次産業化プロデューサーレベル3認定、日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。
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