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特集

紀平真理子のオランダ通信 2019年夏


2階にある糞尿を機械が穴から下に落としていたので、理由を聞いてみると「糞尿は糞と尿をすぐに分けることが大切」だとLaura氏は答えた。尿の中に含まれる窒素(尿素)は、糞の中に含まれる尿素分解酵素と結合してアンモニアを生成する。要は糞と尿をできるだけ接触させず、牛舎以外の場所に移せばアンモニアの発生が抑えられ、臭いもしない。また、糞を乾燥させて燃やしたバイオマス熱を農場で利用している。

【飼料は市内から供給】

粗飼料である牧草は、Floating Farm横の牧草地のものと、市内のNoord Kethel ポルダーで収穫した干し草、ロッテルダムフェイエノールトのサッカースタジアムであるDe Kuipからわざわざ持ってきている。また、濃厚飼料はロッテルダム市内の食品廃棄物を個々の事業者と契約を交わし、提供してもらっている。たとえば、ブルワリーの大麦残渣、馬鈴薯加工会社の馬鈴薯の皮、地域の工場から出る小麦ふすまなどを使っているそうだ。その時々に手に入る食品廃棄物を使うと品質が安定しないのではないかと聞いてみたところ、市内に拠点を置く米国の穀物会社、Cargillと分析し、一般的な濃厚飼料として使用している食料の栄養素は理解しているという。乳牛が必要としている量のプロテインを与え、牛に十分な栄養を与えていることを確認するために飼料組成のためのツールを使っている。しかし、同氏はこっそりと付け加えた。
「私の副専攻のリサーチで、ロッテルダム市内に食品廃棄物がどの程度あり、どのくらいの家畜の餌になりうるのかということを調べたんだ。ただ、このリサーチは、栄養素の話はあくまでも理論上の話であり、これからミルクの品質に関する追加のリサーチをする必要があるよね。だから、あなたの質問への答えは“ありえる”ね」

【直販と市内ディスカウントスーパー、業務用スーパーへ出荷】

Floating Farmでは、250 mlと750 mlの消費期限が短い低温殺菌牛乳とヨーグルト、また熱入れを全くしない生の生乳が購入できるものがある。
「味が違うかって? そう言う人もいるね。値段はどうかって? 値段は250 mlで1ユーロで、しかも直売している。他のものと比べて高いか安いかわかるでしょう?」(前出のLaura氏)
ちなみに、オランダの一般スーパーマーケットの生乳価格は1リットル当たり安いもので80セント、フリースランドカンピーナブランドなど高いものだと1.3ユーロ程度。いずれにしても4倍近い値付けだ。筆者も飲んでみたが、普通の牛乳との違いはあまりわからなかった。

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