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現在は、地域内に長期契約でエネルギーを販売しようと努めている。
【補助金は自然保護マネージメントに支払われる】
オドールンは、オランダ北東部にあり、同国で最も人口が少ないドレンテ州に存在する。同州はオランダでは珍しく海抜10~20mの高原にあり、漂礫土、湿地、泥炭地、酸性で肥沃度が低い砂地のヒースランドが州の大部分で、決して恵まれた地域ではない。この地域は、ジャガイモシストセンチュウやジャガイモシロシストセンチュウといった土壌病害が発生しており、でん粉用馬鈴薯を栽培している。同氏はでん粉用馬鈴薯の圃場は390ユーロ/haのEUからの補助金を受け取っている。実際には受給権利を得るためのルールが厳しく、19 haすべての圃場に適用されているわけではない。さらに、その金額も10年前の600ユーロ/haから年々減少しているという。
この減少分は自然保護マネージメントを実施した分の補助金に回っている。同氏は、「これまでは馬鈴薯を栽培していても地域によって、補助金はゼロだったんだけど、いまは自然保護マネージメントを行なえば、オランダ国内どこでも補助金が受給できるようになったんだよ」と話す。自然保護マネージメントは、地域のバイオダイバーシティを促進するためにハーブミックスを栽培したり、穀物ミックスを栽培し、冬場も刈り取らず残すことで野鳥の保護に努めるというものだ。これはカバークロップとしての役割も果たす。
【年々厳しくなる環境規制】
この補助金が直接支払いから自然保護マネージメントに切り替わりつつある背景にはヨーロッパの環境保護政策がある。環境規制も年々厳しくなっている。たとえば、圃場の5%以上はカバークロップが必要だと規制が変わった。
「私は元々全圃場の25%でカバークロップを採用しているので、焦りはしなかったんだけど、困っている生産者は多いよ」
また、除草剤に関する規制も厳しくなってきている。
種イモの収穫前の茎葉処理のため、同氏はSyngenta社のReglone(ジクワット)を使用している。しかし、そのジクワットは来年から規制により使用できなくなるという。
「茎葉を枯らしてサイズを28~55mmに保つために使っているんだ。この規制は科学的なものではなく、政治的なものだよ」
同氏は最近、Bayer社から試験依頼を受け、Amistarの代わりにオーガニックの殺菌剤を黒あざ病対策として使用している。Amistarは水分が必要なため、近年の干ばつ傾向に向かないことから試験に踏み切ったと話す。
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紀平真理子 キヒラマリコ
1985年、愛知県生まれ。2011年、オランダへ移住し、食や農業に関するリサーチ、本誌や馬鈴薯専門誌『ポテカル』への寄稿を開始。2016年、オランダVan Hall Larenstein University of Applied Sciences農村開発コミュニケーション修士卒業。同年10月に帰国し、農業関連記事執筆やイベントコーディネート、海外資材導入コーディネート、研修・トレーニング、その他農業関連事業サポートを行なうmaru communicateを立ち上げる。今年9月、世界の離乳食をテーマにした『FOOD&BABY 世界の赤ちゃんとたべもの』を発行。食の6次産業化プロデューサーレベル3認定、日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。
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