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この農業に関して事実誤認を与えるような情報の被害者は農業者とともに消費者である。そして、こうした風評によって農業経営が危うくなることを防ぐには、消費者の人々に正しい情報を提供していくことが必要であると考えるからである。当面「AGRI FACT」では農薬、とりわけネット上を賑わしているラウンドアップ(成分名:グリホサート)を中心に、偽情報を正していくことをはじめ、農薬や育種技術あるいは食品添加物などについても取り上げていくつもりである。
また、10月21日のセミナーにはメディアの人々に呼びかけて農薬技術の厳しい安全管理手順やラウンドアップがどのようにして悪者にされていったのかを解説し、同時に米国でのラウンドアップ裁判に関してもその背景を解説する。
メディアは人々の中に「不安」があると、その背景の科学技術やその管理システムについての常識を無視して不安が広がっている事実だけを報道することが少なくない。そんなメディア関係者に農薬に関する正しい情報を持ってもらうことが根拠のない社会不安が広がることを防ぐことにつながると思うからだ。
本誌は有機農業に取り組む人々を紹介してきたし、その活動や有機農産物を求める人々を否定するつもりなどない。一部の極端な運動家たちによる風評の垂れ流しに対して強い怒りを感じている。それは健全な農業経営の成長を妨害するものだからだ。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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