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【スマート・テロワール通信】
生産現場を想定した飼料・輪作・経営の研究発表
- 第25回 2019年11月01日
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ジャガイモ給与による付加価値のある豚肉生産
松山裕城准教授は豚の肥育試験と豚肉加工品の研究について発表した。そのなかからジャガイモの給与の研究について紹介する。
肥育試験では、畑輪作体系で生産されたジャガイモの規格外品を配合飼料に加えている。しかし、国内ではジャガイモを給与する例は少ない。そこで、松山准教授はジャガイモ給与の方法や効果について研究を進めているところだ。
まず、ジャガイモの形態別による嗜好性と消化性の差を検証した。生・サイレージ・乾燥の3パターンで配合した飼料を与えたところ、嗜好性、消化性とも個体差はあるものの乾燥ジャガイモがわずかに優位という結果が出た。畜産業の現場で応用することを考えると、乾燥させるための加熱コストが課題となる。今後、乾燥機とコストの面も加味しながら、どんなパターンがよいか検討していく予定だ。
現在、ジャガイモを給与することによって付加価値のある豚肉ができるかどうかを研究中である。着眼したのはジャガイモに含まれる難消化性でん粉だ。先行研究で、難消化性でん粉は腸内環境を整え、脂肪を抑えて赤身を増やし、うまみ成分のイノシン酸を多く含む筋繊維の割合が増加することが明らかになっている。つまり、難消化性でん粉を与えると、ロースの面積が大きくうまみのある豚肉を生産できる可能性があるということだ。ただし、ジャガイモを給与して実証した研究事例はない。そこで、ジャガイモを給与することによって難消化性でん粉を摂取させた場合でも、腸内環境が改善し、糞の臭気が減少し、肉質の変化が起きるかどうかを検証中である。
庄内スマート・テロワールの取り組みのもと、現在、山形大学の名で販売している豚肉加工品は、庄内産飼料が80%以上であることをアピールしている。今後、松山准教授らによってジャガイモ給与による効果が確認できれば、豚肉加工品の付加価値として新たなアピールポイントになる可能性がある。
耕畜連携畑輪作による土づくり
中坪あゆみ助教の報告のうち、耕畜連携畑輪作による土づくりの研究を報告する。
山形大学農学部の実証展示圃では、堆肥を投入しながら畑輪作(ジャガイモ、大豆、トウモロコシ、緑肥・小麦)することによって、土壌の生物性が改善するかどうかを研究している。2018年、堆肥は10a当たり2t投入し、緑肥作物はマメ科よりもイネ科を増やし、収穫残さを圃場にすき込んだ。
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