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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

会計学・経営観を学ぶ視察の掟


幸い、私は普及指導員時代に、多くの経営の簿記や会計処理のお手伝いをするなかで、その財務諸表を眺める機会を多く得てきた。意外にも同じ品目で、同じような機械装備を持って似たような作業体系で生産していても、財務状況が全く違うということもあった。また、新規就農なら機械装備も土地もゼロから揃えなければならないから、ある程度の機械なり倉庫、農地がある状態で経営を継承する場合とはそもそもの前提が違ってくる。資金的にも、新規就農者は準備金が潤沢でなければ負債を元手に投資を始めざるを得ない。一方の後継者の場合は、負債の多い経営なのか、自己資本比率が高い経営なのか、先代の経営観に影響を受けることになるのだ。
二昔前なら、農業専門の金融機関は貸し付けの物差しを持ちつつも、借り主の意思や地域の実情を勘案して、目安となる限度額を超える融資を行なっていた。そのほとんどが農地取得や改良、トラクターやコンバインを大型化するための資金だった。もちろん減価償却や耐用年数といった考え方もキチンと普及していたが、現場では貸し手が財務諸表を重視していなかったと記憶している。いまでは、農地でも機械でも査定に基づく融資が行なわれるようになって、結果的に担い手が先代の借金で苦しむケースも、極めて少なくなったように思う。さらには地方銀行も積極的に農業経営へ融資するようになった。いずれも、財務諸表や経営者の考え、経営の将来像などを聞き取り、信用を重視した貸し付けになったというのが実態である。
また、経営規模以上に装備や作業が効率的な経営にも遭遇した。農業生産以外の副業があったり、家族が別の仕事に専任していたりするケースである。かつては、農家に嫁げば、経営を継承するまでに勤めを辞めて農業を手伝うのが当たり前だった。しかし、普及指導員や農協職員、看護師、保育士などの技術職に就いている妻が、農業に従事しないで仕事を継続している家も増えている。その場合は農外収入で家計費の充当ができるため、農業経営に自己資本で投資を行なえるのだ。
経営者自身が溶接や運搬など農業以外の分野で技術を磨いていた場合も同様である。農業と建設業の二足のわらじを履き、日々経営者として頑張っている経営者も知っている。別部門での利益を農業部門に投じることができるので、自己資本で経営の効率を優先した資金繰りや、部門間で共有できる便利な機械や道具、倉庫などをいち早く導入することも可能になる。

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