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そうはいっても、夫婦で大型トラクターに乗って、作業をともにしている経営もあるので、経営のかたちは人それぞれといったところであろうか。いずれも、経営者の考え方次第で、経営は同じ作物や地域、歴史でも十人十色である。どんな経営を目指すにせよ、視察研修を通じて、経営者の哲学や財務の一端、経営管理のコツを盗み、良いものは即取り入れていくべきである。そうでなければ、お金を投じて視察に出かけても、もったいないと思う。
有意義な視察の掟とは
さて、視察先の農場を探す方法は大きく3つに分けられる。重要なのは、紹介してくれる人がいるかどうかだ。最良なのは、紹介者が視察に同行してくれるケースである。訪問先と紹介者の関係が親密であればあるほど、本音を聞き出す素地があり、良い出会いを導けるからだ。私はお節介な性格もあって、いわば仲人のような役割を引き受けることが多いが、極力同行して案内するように心がけている。そのほうが先方にも失礼が少なくて済むからである。
2つ目は、紹介してもらったものの同行なしで訪問するケースである。視察の目的を相談した上で紹介してもらうのだから、有意義な情報は得られるだろうと思う。だが、初対面の相手から一度に何もかもを聞こうとするのはお勧めしない。大人数で訪問する場合にも当てはまることだが、初回の訪問はあくまでも第一歩と割り切り、さらなる情報を得たければ、何度も訪ねるくらいの気合いが欲しいところである。
3つ目は、ほかの視察先や遊びも含めた旅程が決まっていて、その近隣にある農場を視察先に選ぶ場合である。我が農場も新千歳空港に近いので、その後に夜のすすきのを楽しむであろう方からの問い合わせも少なくない。そつがない質問が飛び交うものの本質には触れてこないような来客からは私も情報が得られないので、言わずもがなである。
いずれにしても、昨今の経営者は論理的で、なおかつ親切である。とはいっても有意義な視察になるために、押さえておきたい掟がある。少しまとめてみよう。
まず、視察や研修では、話を聞く際の節度や礼儀を持ち合わせていること。飲酒後の無礼な振る舞いなどはもってのほかである。また、手土産に現金は失礼だが、商品券などは訪ねる側も荷物にならないし、案外喜ばれる。食事をしながら話を聞く場合には、その費用は教わる側が持とう。以前に別の項で触れたことがあるが、相手の時間を頂いていることを忘れてはいけない。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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