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人生・農業リセット再出発

CRISIS CONTROL(危機管理)(黒木安馬)

JAL国際線乗務員時代に習慣となって身に着いたものがいくつかあるが、一つは、「STS=SILENT THIRTY SECONDS(沈黙の30秒)」がある。
離着陸時の30秒間は他の事は何も考えずに、万が一、ここでエンジン火災や、鳥が衝突してエンジン失速を引き起こすBird-Strike、タイヤがバーストして離陸中断、あるいは離着陸失敗で滑走路をOVER-RUNしたら……と、ありとあらゆる突発事故を想定し、瞬時にどう対処するかに集中して考えるのである。台風など横風強風ではほとんど横向きで着陸したり、ジェットコースターみたいに揺れる真っ暗な雷雲の闇に稲妻の閃光が翼に落雷することなどは、我々は慣れているが、乗客は生きた心地がしないだろう。
突発的な航空機事故になれば、密室の不安心理も重なって多人種が乗り合わせている旅客は必ず大混乱を引き起こす。パニックを抑えるPANIC-CONTROLを含め、1人の乗務員が数十人から100人近くの旅客を誘導して脱出させるのだから、乗務員はサービス要員だけではなく、旅客席数・非常口ドアの数・搭乗員数などと航空法で決められた保安要員でもある。

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