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そして、参加者の皆さんが本日学んだ科学的、現場の視点から情報を拡散いただくことで、農や食の現場における風評被害を防ぐことにつながればと願っております。
レポート 「科学を無視した世界規模の風評発生メカニズムを解く」
公益財団法人食の安全・安心財団理事長
東京大学名誉教授
唐木英明
はじめに公益財団法人食の安全・安心財団理事長/東京大学名誉教授の唐木英明氏は、ラウンドアップは1974年に販売が開始されて以来、優れた除草剤として評価され、世界中の農業者に活用されてきたと述べた。発売以降1996年までの20年以上、安全性についての問題提起がなされることはなかった。しかし近年、米国ではがんとの関連性をめぐる訴訟が続き、日本国内ではラウンドアップの風評がネットメディアやSNSで加速している。唐木氏は、この状況の背景を読み解き、科学的な視点で解説した。
【GM論争に巻き込まれたラウンドアップ】
■遺伝子組み換え作物(GM) 商業栽培の開始が発端で、反GM運動に巻き込まれたラウンドアップ
ラウンドアップの安全性について問題提起がされた発端は、1996年の遺伝子組み換え作物商業栽培の開始だった。GMの約8割がラウンドアップ耐性を持っている。すなわちラウンドアップを散布しても、雑草のみ枯れGMは枯れない現代の技術である。GM反対派が多数いたこともあり、それまで安全性について問われることがなかったラウンドアップも、GMと同様に反GM運動の標的になった。
■GM危険論は科学的でなく、心情と信条によるもの
そもそもGMを危険だと考える人の根拠は何だろうか。その理由はさまざまだが「非倫理的・気持ち悪い」という心情的なものや、米国は国家戦略として農産物の世界市場を支配しようとしている、枯葉剤を作ったモンサントは危険なものを売っている、安い作物は安全性を軽視しているなど信条的なものがほとんどだ。いずれも、GMが危険であるという科学的な根拠はない。
【不十分な実験でジャーナルへの掲載が撤回されたセラリーニ論文】
■計画されたセラリーニ論文とその宣伝映画
2012年2月に、フランスのジル・セラリーニ教授が「ラウンドアップ耐性トウモロコシ(GMO)と、ラウンドアップによりラットの乳がんが増加した」と発表した。乳がんを患ったラットの衝撃的な写真で関心をひき、同氏は論文発表と記者会見を同日に行う計画的なものだった。さらに図ったように、同月に宣伝映画である「世界が食べられなくなる日」の上映が開始された。
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