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特集

緊急セミナー ラウンドアップ問題を考える 誌上採録・前編



【世界と日本国内の農業界への影響】

世界のラウンドアップをめぐる動きは、世界や日本の農業界に影響を与える。GMの約8割がラウンドアップ耐性のため、ラウンドアップを禁止するとGMはほぼ存在しなくなる。これは反GM団体の思惑通りだが、そうなると世界の食料安定供給が難しくなる。またラウンドアップは、GMにのみでなく、日本では一般の畑作で使われている。ラウンドアップが使用できなくなると、日本の農業も深刻な状況に陥るだろう。
最後に唐木氏は、参加者に以下のように伝えた。
「科学の話をすれば皆さんに納得してもらえるだろうと思っていたが、納得してもらえないことがわかってきた。科学は重要だが、それだけでは人の心は絶対に動かせない。たばこ裁判でも人の心を動かしたのは、欺瞞のFrank Statement と機密文書の公開で政府の公式文書ではなかった。人の心を動かすのは、戦略的で多量な情報発信によるイメージ作りや世論作りだ。科学者もこの事実に学ぶ必要がある」

講演録 農薬の安全性はどのように確かめられているか

一般財団法人残留農薬研究所
業務執行理事・毒性部長 
青山博昭

農薬の安全性はどのように評価されているのか。
残留農薬研究所は、農薬が登録される前に農薬候補化合物のありとあらゆる有害作用(毒性)を見つけ出し、曝露評価と合わせてリスク評価を実施するためのデータを採取する。これらのデータは、試験委託者を通じて食品安全委員会に提供される。また、国からの委託試験等の結果は、必要に応じて論文として世間に公表する。
ここでは、ラウンドアップの風評被害について議論する前に、農薬の安全性はどのように確かめられているかについて、同研究所業務執行理事・毒性部長の青山博昭氏が解説する。

【農薬の評価はどのように行われるか?】

■ 環境中に存在する様々な化合物はリスクで評価する

農薬に限らず、環境中に存在する様々な化合物の安全性は、リスクの大小で評価します。リスクというのは、言い換えれば、「毒性の強さ」と「曝露量」の掛け算から得られる値であり、ヒトに対するリスクはどれくらい摂取するかに比例して大きくなります。
ですから、毒性が非常に強くても、摂取しなければリスクはゼロです。逆に、毒性は弱くても、毎日大量に摂取すればそれなりにリスクがある、という概念です。
農薬の毒性は、基本的には、我々が実施するような毒性試験によって、まずその性質や強さ、あるいは

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