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特集

緊急セミナー ラウンドアップ問題を考える 誌上採録・前編


例えばビタミンはどうでしょうか? 体にとって必要ですので、ある適切な量を我々が食事から摂取していれば、生体にとって悪いことは起こりません。
ところが不足すると欠乏症という病気になりますし、多すぎても過剰症になりますので、我々は体を正常に保つために常に必要な量を摂取する必要があります。
ビタミンAを例にしましょう。妊娠中のお母さんがビタミンA欠乏症になってしまうと、生まれてくる赤ちゃんの指が正しく形成されないなどの異常が出ます。しかし、とり過ぎたらとり過ぎたで、今度は指の本数が多くなってしまうことがあります。
こういった栄養成分やビタミンとかホルモンといったものは、多すぎても少なすぎてもいけない、という概念を持つことが必要です。

■解析は詳細にわたる

では、農薬の場合です。日本の場合、カドミウムですとかヒ素などのリスクが話題になるように、我々にとって、食品ではないもの、言い換えれば、我々の生命維持に必要でないものは、通常、ごくごく微量の摂取であれば何の問題も起こりませんが、曝露量が大きくなると様々な悪影響が現れてきます。
農薬についても同様で、曝露量(摂取量)が僅かであれば何の問題もありませんが、その量がどんどん増えてくると、徐々にまずいことが起こるわけです。
そこで、我々の仕事は、あらゆる農薬について、基本的にはものすごく大量に動物に投与して、どの線を超えたらどのような悪影響が出るか、ということをきちんと解析します。同時に、どの量よりも少なければ何も起こらないか、ということも合わせてきちんと評価します。

■世界共通のルール下での試験

ただし、例外もあります。発がん物質やがんを引き起こす物理的要因の中には、遺伝子に障害を与えることによってがんを引き起こすようなものもいくつかあります。例えば、我々は避けようがないのですが、電離放射線ですとか紫外線とかがそうですね。こういったものは、必ず我々は浴びてしまいますし、浴びれば必ず一定の割合で遺伝子にヒットして、突然変異が起こります。
運が良いと、ヒットしたDNAの領域には遺伝情報として意味を持たない塩基配列があるだけで、生体にとって何ら不利益はもたらさないという場合もあります。mRNAに翻訳されたり遺伝子の発現を調節したりするような情報が載っていないような領域なら、そこに突然変異が起こっても何も起こりません。しかし、運が悪いと、変異したらがんになるというような遺伝子にトラブルが起こることがあります。

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