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江刺の稲

T家の“大欲は無欲に似たり

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第281回 2019年11月29日

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結婚式に呼ばれた。新郎F君の父親Kさん、祖父のWさんは古くからの読者。このT家は僕にとって因縁浅からぬ。僕の話を聞いたばかりに損をさせてきたかもしれない一家なのである。今回、結婚式で祝辞を述べろというのであった。
Wさんとの最初の出会いは今から20年以上前、98年に行なった北海道型の機械化体系による畑作野菜経営を目指そうという実演研修会だった。北海道ニプロにお願いして同社が開発し、クボタが販売していたピックアップハーベスターを提供してもらい、茨城県結城市内の畑に植えたタマネギの収穫実演も行なった。農業経営者だけでなく外食や流通・加工業者も参加した。需要企業が生産者との連携をさらに深めていくことの必要性を語り、イベントも「経営実験プロジェクト会議」と銘打っていた。
検討会にKさんと一緒に参加したWさんが「実はタマネギを作ってみたのだが、まだ売り先がない」と言う。それじゃダメじゃないかと僕は言ったが、そんなWさんのタマネギ作りには理由があったのだ。
Wさんは地域の土地改良区の専従役員となり、その年にKさんに経営移譲をしていた。土地改良区のリーダーとなったWさんがT家にあてがったのはほとんどが用排水分離のできていない排水の悪い水田ばかりだった。皆を説得してまわった土地改良で自分が条件の良い場所を取ってしまうのは良くないと考えたからだ。タマネギの試作は、そんな水田での転作として野菜作を普及所や農協にも呼びかけて実施したものだ。

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