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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第11回 地球温暖化追い風に技術革新 桔梗ヶ丘メルローの先駆者 (株)林農園五一わいん(長野県塩尻市)


菊池専務「市場規模は膨らんでいるだろうか。酒類間の奪い合いがある。ワインはまだ恵まれているが、ライバルは増加している。スーパーの棚では、『日本ワイン』の顔して、輸入物や国産ものが並んでいる。価格競争は無理で、品質競争だ。和食に合うワインが造れるか、日本人の味覚に合うものを造れるかが日本ワインの勝負どころだ」。
桔梗ヶ原は、内にあっては千曲川バレーあるいは勝沼、外からは輸入ワインの増加、競争環境は厳しくなりそうだ。林農園は明治以来、次々と新技術を開発して地域に貢献し、自らも経営発展してきたが、次のイノベーションは何であろうか。
ワインは人(特に女性)を呼ぶ。塩尻市の行政は、ワイナリーの人を呼ぶ潜在力を生かし、ワインツーリズム競争に勝てるまちづくりが望まれる。

4 ワイン人材供給、地元の取り組み――塩尻志学館高校ワイン科/塩尻ワイン大学

塩尻はワイン人材の供給にも、面白い取り組みがある。長野県塩尻志学館高等学校には、高等学校としては珍しくワイナリー免許を取得し(78年前)、ワインを醸造している。
20年前までは「コース制」(2年20名、3年20名、計40名)であったが、現在は総合学科の生徒が“選択科目”として週2回、ワイン関連の授業を選択している(2時間授業、1週4時間)。ワイン受講生は50人。科目は2年で「ワイン製造α」(4単位)、3年で「ワイン製造β」(4単位)、両学年で「ワイン学」(2単位)。
このほか、ワイナリー研修、県工業試験場(食品部門)、山梨大学ワイン科学センター、ブドウ栽培農家に、1週間単位で研修に行く。塩尻市の補助を受け「海外ワイン研修」も毎年行なわれている。
また、学校の農場(30a)で、ブドウを栽培し、ワインを醸造している(試験醸造免許、1943年取得)。ブドウの10a当たり単収は1.5tで、ブドウ収穫量は4~5t(目標6t)、ワイン4000本を造っている。文化祭の時、原価1000円(720ミリリットル)で販売し、収入は県に納入している。
同高校は1学年240人であるが、卒業後の進路は進学210人、就職30人(ワイン科が多い)で、ワイン科の卒業生の中には、毎年数名、地元大手ワイナリーに就職している。今年はシャトー・メルシャン、アルプス、井筒ワインに計3人就職した。地域に根差した教育が行なわれていると言えよう。
もう一つ、もっと効果的にワイン人材を育成しているのは「塩尻ワイン大学」である。

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