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【農業は先進国型産業になった!】
日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第11回 地球温暖化追い風に技術革新 桔梗ヶ丘メルローの先駆者 (株)林農園五一わいん(長野県塩尻市)
- 評論家 叶芳和
- 第31回 2019年11月29日
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2014年から、塩尻市はワイン産地の活性化のため、3年制の「ワイン大学」を開設している(事務局農政課内)。対象は醸造用ブドウの栽培、ワイナリーの設立を目指す人である。1期生25名は卒業し(この時は4年制)、現在第2期生18~20年(3か年、21名)を開講中である。土・日曜連続の講義を月1回、年11回、3年間。
講義内容は、1年目は栽培技術、2年目は醸造技術を学ぶが、講師は県果樹試験場長、ワイナリー技術者、HACCP・GAPなどの専門家が講義する。3年目はワイナリー起業に向けて経営手法を学ぶ。金融公庫や税務署を講師に迎えて講義する。受講生は、市内8名、市外7名、県外10名(第1期生)。
卒業生の中には、ワイナリーを開設するものがいる。1期生(25名)は5名がワイナリーを立ち上げ(2人は共同)、1名は会社に入って醸造責任者になっている。計6名がワイナリー関係に進んでいる。
表2に示したように、塩尻市では新規参入が相次いでいるが、最近はその多くはワイン大学の卒業生である。彼らは遊休地をブドウ畑に変えている。
塩尻桔梗ヶ原は、テロワール(風土)だけではなく、人材供給面でもワイン産業発展の基盤を築いている。
……………………
☆本稿は「ワイン地誌」と題した(第1節)。地誌学は“総合科学”と言われる。塩尻桔梗ヶ原の発展は、気候変動、社会変動、技術進歩、制度変更が影響していることを明らかにした。本稿では、筆者なりに地誌学の方法論を意識した。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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