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スマート・テロワール通信

スマート・テロワール協会 理事会・総会開催


2.ステップ:仮説の経済性を最小経営規模で実証する。
3.ジャンプ:自給圏エリアに全面的に「スマート・テロワール」を展開する。
山形県庄内は4年目、長野県は3年目を迎え、ホップ・ステップ・ジャンプ方式のホップの段階にある。スマート・テロワール協会は、これらの現状を踏まえ、次回12月以降の理事会で今後の具体的な活動について議論を深めていく。

中田康雄の気づき

【水田の永久畑地化はなぜ進まないのか】

「スマート・テロワール」は遊休資産である耕作放棄地や休耕田などの水田を永久畑地化することから始まる。耕作放棄地や遊休地を有効利用することに抵抗は少ないが、畑地化して小麦や大豆、トウモロコシ、ジャガイモなどの畑作穀物の輪作を推奨しても誰もが二の足を踏む。理由は主に5つある。
・収益性が見通せない。
・高額農機の資金調達が必要。
・収穫後の乾燥、調製、選別などの設備の資金が必要。
・貯蔵施設の資金が必要。
・原料として買い入れる地場食品加工業がない。

【畑作穀物のお客様は食品加工業】

なかでも実需者がないという問題が最も深刻だ。畑作穀物のほとんどは何らかの加工を施して初めて消費者に購入してもらえるからだ。大豆なら豆腐、納豆、醤油、味噌などの加工を経て消費者の手に渡る。小麦であれば製粉という一次加工のあとパン、麺の二次加工を経てやっと消費者の手に渡る。
残念ながら現状では農村地域の食品加工業は地場産業としての存在感が薄い。たとえば小麦は大手の製粉業が寡占状態で地場の製粉業者を見つけるのは極めて困難だ。
ジャガイモについてもポテトサラダやコロッケ、フレンチフライなどの加工業を農村地域で探すのに苦労する。大豆は豆腐、納豆、味噌、醤油などの地場加工場がまだ健在なところが多いが、輪作が前提なので、大豆以外の作物の需要がなければ成り立たない。

【地場食品加工業が切り札】

こうしてみると「スマート・テロワール」の構築には畑作穀物を加工して消費者に提供する地場食品加工業の存在がその成否を分ける鍵になると言える。
人口40~50万人の需要をまかなう小麦の製粉業やジャガイモの加工業などの創業と育成が必要だ。
畑作穀物の生産には畜産業との連携が不可欠なので、ハム、ソーセージ、チーズなど畜産原料の加工業も加えていく必要がある。
地場食品加工業が農村地域で興隆することは、地域の農業と畜産業の再生の前提となることを含めて地方創生の重要な切り札になるに違いない。

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