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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

スロベニア 初期投資の少ないCBD事業に特化栽培を広げ、世界の需要に応える

ヘンプの栽培規則はケシ(園芸種)と同じ

スロベニア共和国は欧州の中央部に位置し、国土面積は日本の四国よりやや大きい程度である(図1)。旧ユーゴスラビアの6つの国の一つで、1991年に独立し、04年に欧州連合(EU)に加盟した。耕作面積は約1割程度で小麦、トウモロコシ、テンサイ、ホップ、ブドウなどを栽培している。
人口が200万人と市場が小さいため、おもにEU圏内向けの輸出が盛んである。
旧ユーゴスビラビアは第二次世界大戦後に米国の影響を受けない社会主義体制を敷いていたため、ヘンプの栽培は禁止されずに継続されていた。主要な産地はスロベニアにあったが、80年代の冷戦構造の崩壊に伴い、民主化が進み、栽培がほとんどなくなった。
スロベニア共和国として独立後、ヘンプが許可制で栽培できる体制となったのは、99年に麻薬生産販売法(第9条)が定められたことによる。翌00年に、首都リュブリャナにあるリュブリャナ大学で栽培研究が始まった。
さらに04年のEU加盟により、栽培可能な品種がEU規則に基づいてマリファナの主成分であるTHC濃度が0.2%未満のみに規定され、同年からヘンプ種子の販売を目的とした栽培が徐々に増えていった。そのため、11年にスロベニア政府は「ヘンプとケシの栽培許可を取得するための条件に関する規則」を定めた。ヘンプはマリファナにならない品種、ケシはアヘンにならない園芸用ポピー品種のなかで、いずれも国の植物検疫局のウェブサイトで毎年公開される農業植物種共通カタログ(欧州品種リスト)に収載されている品種に限って申請に基づき栽培を許可するという内容である。
19年カタログに収載されている産業ヘンプは66品種。播種の時期に関係なく、毎年5月に購入した種子の品種ラベルを添付して農林食品省(MAFF)に申請する(表1)。許可証はシーズンごとの申請に基づいて交付され、そのコピーを警察局にも提出しなければならない。THC濃度の検査は、農林食品検査官がEU規則に準じて実施される。

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