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土門「辛」聞

「新潟コシ1等米20%」は県農林水産部による人災だった


富山でも2つの高温ピークがあった。ただ田植え直後の気温は、新潟と比較してみると富山の方が高かった。8月はその逆だが新潟との差は約1度。それでも19年産富山コシヒカリの1等米比率は、過去30年の平年値より約1ポイント高かった。品質が下がることはなかったのだ。
そこで富山で使われている肥料のことを調べてみた。富山の農協が扱う基肥一発肥料は4種類。「LPSSシリーズ」と呼ぶ。1号から4号まであって、1号と2号が化成系窒素、3号と4号が有機質系窒素を使用。旧知の営農指導員の説明は問題の核心を突いていた。
「農協では化成系を奨めています。有機質系は効き方が鈍いから。逆に化成系は効き方が安定している。3号・4号から1号・2号に切り替えるケースも多いです」
越後のかがやきシリーズは、有機質系原料を5割(一部は3割)使った減化学肥料だ。どのタイミングで肥料成分が効き出すかを示した肥効曲線などの資料は公表されていない。県内の生産者にチェックをかけると、JA柏崎営農指導課が18年7月、生産者に配布した「TAC通信57号」のコピーが送られてきた。
テーマは「JA一発肥料は今後どのように窒素が溶け出すのか?」。JA柏崎が扱っていた「JA柏崎ワンタッチ早生」「JA柏崎コシヒカリ肥料」の従来製品と、全農にいがたが投入した越後のかがやきシリーズ「有機50スーパー元肥」を比べていた。結果は次の3点。(1)初期の速効性窒素は少ない、(2)有機質は多い、(3)穂肥成分量は変わらない。
ポイントは(1)の部分。それが原因で田植え直後の異常高温を乗り切ることができなかったのだ。
「窒素は有機系肥料原料が5割なので初期の肥効は弱かった。そこへ5月の異常高温で、その有機系肥料分が十分に発酵していなかったのか、硫化水素ガスが発生したので根を傷めたようだ。さらに8月のフェーンによる熱風を受けた。これが品質低下の決定要素となったが、田植え直後の肥料が十分に効いていない間に異常高温に見舞われたことが、過去最悪級の品質低下となったと受けとめるべきだ」
新潟県農林水産部は補助金を使ってこの肥料の普及を後押しした。被害が拡散した一因になったのだ。

原因隠しで研究会農林水産部は嘘もつく

コシヒカリの収穫が一段落した10月8日、新潟県農林水産部は急遽、「令和元年産米の品質に関する研究会」の第1回会議を開く。県内の各地から農産物検査でコシヒカリの品質が過去最低になるという情報に備えてのことだ。

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