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今年の市場相場を読む

需要の構造変化に対応してきたキノコ 生シイタケ/シメジ/エノキダケ/エリンギダケ

キノコ類は、近年は菌床栽培と環境調整技術の普及で、多くの品種が人工栽培できるようになり、生産、出荷が周年化することで、年間を通じて需要も生まれた。とはいえ、そのほとんどが秋~冬の鍋のシーズンにピークを持つ季節野菜でもある。その一方で、消費傾向、需要構造が変わることで、生産、流通にも変化が出ている。いまでは鍋の具にはエノキダケに地位を奪われ、シメジも仲間入りするなど、バラエティーの充実に役立っている。また、大方のキノコが鍋などの煮物に向いているが、エリンギは鍋には向かなくても成長著しい。生産構造が農外資本に集約、寡占化していることも成長した一因だ。

生シイタケ 輸入品は消費者離れで需要支持もなし、エノキにトップの座奪われ行方が注目

【概況】
東京市場における生シイタケの入荷動向を02年と18年の16年間の対比で見ると、入荷量は29%減り、単価は22%高くなった。このパターンは野菜類では珍しくはないのだが、シイタケに関していえば、単価が安い(国産の3分の1程度の)中国産の入荷が急激に減った結果だ。入荷推移の特徴は、6~9月の夏に少なくて安く、11~12月から年明けにかけての時期、鍋シーズンにピークとなって単価高にもなる。
【背景】
歴史的にシイタケは、森産業が優良菌と種コマを開発して以来、全国に原木栽培が普及拡大し、天然の産物から人工栽培へというキノコ新時代が始まった。農家が管理する林産物は農協に集約、共同販売された結果、卸売市場における定番商品に定着して単価も安定していく。しかし平成に入ると、シイタケは原木から人工菌床による栽培に移行していくのだが、省力・効率化を歓迎する生産側に対し、当初市場や消費者は菌床物を信頼しなかった。
【今後の対応】
ところが、菌床シイタケを量産する中国から安く(国産の3分の1)輸入が始まると、00年には4万tまで拡大したが、安全性への不信が高まると、輸入量(02年と18年の対比)は4万tから2000tへ。うち東京市場入荷は4566t(シェア43%)から794t(同11%)と激減。この10数年で中国産でも加工業務用野菜は数量が回復したが、減りっぱなしは小売商材のシイタケのみ。一時、小売店の売れ筋商品になった中国産の需要を国産がどう回復させるかだ。

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