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イベントレポート

農村経営研究会 2019年第3回定例会


事業の柱は、企業経営者が交流して学ぶ「TMP:エグゼクティブコース(トップマネジメント・プラザ)」の開催である。2003年に「人と地域の創生」というテーマを掲げたとき、3つの共生のモデルを紹介した。ジャガイモの産地の北海道美瑛町とカルビーの共生。栗と北斎のまち長野県小布施町と市村邸。岡山県岡山市と林原グループ。どれも企業家が村や街づくりに関わっている例だ。加藤氏は、これらのモデルを通して「村と都市と企業の共生を目指す」という自身の事業のテーマを改めて明確にした。なかでも美瑛町とカルビーとの共生のモデルは加藤氏の理想として「日本で最も美しい村」連合の活動の絵を描く際の源になった。

フランスの最も美しい村をモデルに発足

「日本で最も美しい村」連合は、1982年に設立したフランスの最も美しい村協会をモデルにしている。加藤氏は、フランスの最も美しい村の経緯を解説した。
フランスは40年ほど前に財政破綻しつつあり、コミューン(フランスの自治区の最小単位)の合併を促していた。そのとき「赤い村」(コロンジュ・ラ・ルージュ)と呼ばれる村の村長が合併に反対し多くの同志を集めた。反対運動の結果、フランスはコミューンを残すことになった。それぞれのコミューンでは、村長や議員がボランティアで村づくりに取り組み、村をゾーニングして城や教会のある一帯を最も美しい景観に変えていった。その場所に、パリなどの都会で修行した若い料理人たちがレストランを構え、それをミシュランガイドが紹介し、それを見た都市の人々がコミューンに訪れるようになった。欧州では、スローフードやアグリツーリズムなどの運動もあいまって、フランスが始めた最も美しい村の活動も広まっていった。「世界で最も美しい村」連合会も立ち上げられ、フランスをはじめ、ワロン(ベルギー)、カナダケベック州、イタリア、スペインが加盟した。日本も2010年に加盟している。
「日本で最も美しい村」連合の発起人は、会長に就任した美瑛町長(当時)の浜田哲氏である。松尾氏の勧めでフランスを視察したことがきっかけだ。2005年、美瑛町、南小国町、大蔵村、赤井川村、大鹿村、白川村、上勝町の7つの町村が美瑛町に集い、設立大会が開催されるとともに「日本で最も美しい村」連合が発足した。

最も美しくなることで誇りを持ち自立する

加藤氏が参画したきっかけは、松尾氏に企業サポーターを集める担当を依頼されたことである。サポーター制度は日本独自のアイデアで、「自分たちの村を美しくしよう、自立しよう」という住民と、その意志を応援する企業・個人サポーターが資金を出し合って一緒に活動するという体制である。企業正会員は1口10万円、準会員や個人サポーターは1口5000円。住民も一人年間50円程度負担して活動資金を賄う。

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