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食と農 安全・安心を考える

「無農薬・無添加だから安全」という誤解はなぜ生まれるのか

食品には日持ちを長くしたり美しく仕上げたりするために、様々な食品添加物が用いられている。私たちが安全で豊かな食生活をおくるために欠かせないものだが、「体に悪い」というイメージを持たれることも多い。なぜ、そのようなイメージが持たれるのか。表示や消費者教育においてどのような方策があるのかを考える。

[1] 安全性を追求した食品添加物の規制

食品添加物は近代のものと思われがちだが、人類は有史以来、食品を安全に食べるために使ってきた。たとえば食肉を岩塩で包むことで保存性が高まり変色も抑えられるが、これは岩塩に含まれる硝酸塩の効果で、亜硝酸塩に変化することによって色よく仕上がる効果を利用したものである。ハムなどの食肉加工技術として欠かせないものとして、使われてきた。豆腐を固めるにがりも、食塩製造の副生物を利用したものである。
その後、科学技術の発展に伴い様々な添加物が開発されるようになり、昭和20年代の食品衛生法施行で初めてことばが定義され規制されるようになった。昭和30年代には人工甘味料などが過剰に用いられて食中
毒の事件が起きたこともあり、安全性については厳しく規制されるようになっていく。「添加物は危ない」というイメージは、この当時より形成されたものである。その一方で、昭和40年以降、食品添加物による事故や、人の健康に悪い影響を及ぼすような事例は報告されていないが、そのことはほとんど知られていない。
当時は化学合成された添加物が規制対象だったが、天然由来だからといって安全とは限らないため、平成3年より天然由来の添加物も合成添加物と同様の規制がかけられるようになった。これによって、すべての食品添加物は厳格な試験などで国によって安全性が確認されたものか、これまで広く長く使われた食経験のあるものしか使ってはいけないという現在の規制の枠組み(ポジティブリスト制度)ができあがった。指定添加物、既存添加物をあわせて800近い添加物が定められている。

[2]ネガティブイメージが拡大する理由

このような食品添加物の安全性の仕組みについて、消費者庁が行った「平成29年度食品表示に関する消費者意向調査」結果によると、そのことを知っている人は35.8%となっており認知度は低い。一方、地方自治体や民間のアンケート調査結果を見ると、食の安全に関して不安を感じるものとして「添加物」は、「残留農薬」「輸入食品」と並んで上位を占めている。数年前まで関心が高かった「BSE」「放射性物質」は低くなり、添加物、農薬のネガティブなイメージは根強いものがある。

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