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新・農業経営者ルポ

一切妥協なしの建設会社による農業


「いかに耕作するか、いかに面積を増やすかと考えた」
「建設業が農業だなんて」と色眼鏡で見られず、耕作者として信用を勝ち取るにはどうすればいいか。コメという既存のプレーヤーがひしめく世界で、どう独自色を出し、販路を切り拓くか。その結論が無農薬・無化学肥料栽培だった。
「田んぼを預かって、無農薬で4月から10月くらいまでコメを作る。10月から3月にかけては土づくりをしよう。そのために食品残渣や枝や葉を集めてリサイクルして田んぼに入れよう。そのサイクルを作ろうと思った」
西山からポンチ絵(構想図)を渡され、具現化を任されたのが19年10月にあぐりの代表取締役に就任した大森孝宗だ。農業経験はなかったが、大学時代に青果店でアルバイトをし、長年店頭に立った。西山が社員に「農業生産法人を立ち上げる。誰かやりたい者はいないか」と聞いたとき、迷わず手を挙げた一人だ。現状のあぐりの仕組みを図式化した資料を片手に、西山が言う。
「この絵も最初はもっと簡単なものだった。仕組みを回していくためにさまざまなことが派生するだろうから、わからないことは人に聞きなさいと言って、任せた」
大森がマーケティングや栽培方法、生産資材について研究する日々が始まった。
あぐりの事務所脇の倉庫に、微生物資材の培養設備がある。人の背丈より高いタンクがいくつも並ぶ。培養するのは自前で開発した「あぐり菌」と、愛媛県産業技術研究所が開発した「えひめAI-1(あいいち)」だ。有機質のリサイクルには微生物の力を借りる必要があるからと、微生物資材について学び始め、開発されたばかりだったえひめAI-1に出会った。バイオマスに詳しい研究者にも教えを請うた。

微生物資材を独自に開発

えひめAI-1もあぐり菌も、環境浄化の効果がある。あぐり菌は乳酸菌や納豆菌などを独自の配合にし、自社の農業に使おうと作った。堆肥の発酵促進や臭気減少の効果がある。その消臭効果が評価され、松山市内の焼却炉の消臭対策に使われている。
無農薬・無化学肥料の稲作をすると決め、それに付随して食品リサイクルや剪定枝を使った堆肥づくり事業を始めた。もともと建設業を核に多角経営する愛亀グループは「さまざまなことを連携させるのが強み」(大森)で、コメづくりを中心に、事業を派生させていった。
堆肥を作っているところを見せてもらった。大量の木の枝が積み上げてあるのに驚く。これは、地元の松前町が一般家庭から剪定枝を回収する日を設け、その日に回収されたもの。同町からリサイクルできないかと相談を受け、農薬の残留がないかなどを調査したところ、堆肥化できるとわかり、受け入れを始めた。粉砕してチップにする。

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