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新・農業経営者ルポ

一切妥協なしの建設会社による農業


「袋を見れば、このコメがどの田んぼで取れたかわかる。その田んぼはどういう地力で、どういう作業をしたかということが、すべてトレーサビリティーが取れる」(西山)
大森が事務所の机に分厚いファイルを広げた。そこには、乾燥機ごとの記録がまとめられている。何月何日の何時何分から何号機で水分量何%の状態で乾燥を始め、いつ水分量何%にして乾燥を終えたか。この時入れられたコメは圃場番号何番の何の品種か。色彩選別機を通過した後、いつ袋詰めし、どのパレットに積んだか。ほかにコメの特徴や袋詰めの形態などが備考欄に書き込まれている。一度に乾燥機にかけた単位で、何か問題が発生した場合も記録をさかのぼれる。

グループ内で連携して営業

事務所の壁に目を転じると、計50?haになる400枚の圃場の番号と地区名が記されている。それに加えて、どこの圃場でいつ草刈り、畦塗り、堆肥や肥料の散布、耕耘、代かき、田植えなどをしたかが作業者ごとに一目瞭然になる表が貼り出されている。堆肥と肥料については種類と散布量も記されている。
作業者は毎日手書きの日報を付ける。それを大森が入力し、一覧にするのだ。こうすることで、土壌の状態から作業内容、食味値、そしてどう販売されたかに至るまでの情報が網羅される。
新規参入として最も苦労したのは販路開拓だった。「建設会社の作ったコメ」ということで、マイナスのイメージを持つ相手が多かったからだ。すんなり棚を貸してくれる量販店はなかった。そこで、愛亀グループ得意の連携プレーに打って出る。他のグループ会社社員が挨拶回りや会社訪問の際に、コメのサンプルを配って回った。
「農業という事業を一つの法人の中で完結させるのではない。さまざまな強みを持ついろんな法人がグループ内にあって、全体で連携しながら事業を動かしていく」(大森)
連携の甲斐あって、徐々に口コミでおいしいと評判になった。宅配先が増え、マスコミに取り上げられたのをきっかけに量販店にも売り場ができ、今では百貨店にも販路を持つ。
コメだけでなく、野菜も生産・販売するのは、野菜のほうが棚に置いてもらいやすかったという事情もある。生産するコメはコシヒカリ、ヒノヒカリ、あきたこまち、にこまる、愛媛県が新たに開発したひめの凛、もともと飯米として開発されて酒造りに好んで使われる松山三井など、10品種近くになる。理由は、種類が多いほうが棚の中であぐり米の並ぶ幅が広がるから。ブランドが認識されるようにとマーケティングの戦術を練ってきた。

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