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特集

緊急セミナー ラウンドアップ問題を考える 誌上採録・後編



【オランダに触発されたドイツでも環境保護パッケージに対して抗議】

■オランダの動きに影響を受けたドイツでも抗議活動
オランダでの抗議運動はドイツにも広がった。イニシエーターは、オランダでの抗議の画像をSNSで見て、抗議活動に至った。10月22日にはドイツの農水省の本部があるボンでも約2000台のトラクター(約6000人)、ハンブルグには約500人、バイエルン州には約1500人など12を超える州に集結して抗議した。じつはこの抗議の前にも、約2万の圃場に緑の十字架を掲げ、SNSに投稿し続けるサイレント抗議(写真)を行なっていた。これは、「農場に未来を感じられず、農家が静かに死んでいる」ことを表現したものだ。

■2023年末でグリホサート(ラウンドアップの主成分)廃止予定
ドイツの抗議の発端はオランダのそれとは異なる。2018年に2020年以降、グリホサート(ラウンドアップの主成分)など除草剤を使用する際は、農地の10%を自然保護区として確保しなければならないという規制が設けられた。
そして、2019年9月初旬に、Schwarz-roten Koalition(赤黒連合、※保守、キリスト教民主党と社会主義、民主党で構成される大連立政権)により、ドイツ政府による新しい環境対策パッケージが合意された。このパッケージは昆虫保護、動物福祉ラベルの義務、環境保護に関する補助金の再配分の3つで構成されている。昆虫等保護に関して説明すると、グリホサート(ラウンドアップの主成分)の使用を段階的に制限し、EUの承認が切れる2023年12月31日に完全に廃止する予定だ。さらに、特定の肥料と液体肥料の使用削減の提案もされている。

■昆虫保護・動物福祉・補助金の再配分の規制は専門知識に基づいていないと抗議
この合意に対して、ドイツの農家は規制が専門知識に基づいていないと指摘し、抗議に至った。スローガンは“Land schafft Verbindung”または“Land creates a bond”(土地がつながりを作る)で、SNSを通じて抗議への参加を呼びかけた。さらに、一般市民のために食べ物を作っているにもかかわらず、感謝されないどころか非難を浴びていることも抗議活動の理由の一つである。これはオランダと似た側面がある。
この抗議に対して、いまのところ大きな変化があるわけではない。ドイツでは農地の約40%でグリホサートが使用されており、使用することで1ha当たり100~150ユーロコストが削減できるといわれている。この規制と抗議がドイツ農業をどのように変化させるのだろうか。

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