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特集

緊急セミナー ラウンドアップ問題を考える 誌上採録・後編



小島 米国内では生産者側が勝訴しているといった報道はされているのですか。
浅川 農業系メディアでは報道されていますし、共和党に近い保守系メディアでも報じられています。民主党に近いリベラル系メディアではやはり報道されていないようです。
唐木 ラウンドアップ裁判に関連して言いますと、EPAは「ラウンドアップに発がん性はない」と一貫して主張しています。ところが、裁判では発がん性なしとしたEPAの役人がその後、モンサントに転職していた事実を原告弁護士が明らかにし、陪審員に「モンサントは不法行為を働いた」というイメージを植え付けることに成功しました。これも印象操作の類で、我々の世界では、規制庁、大学、企業をぐるぐる回る人事交流は最先端の知見を効率的に得る意味でも日常的に行われていて、何らやましいことはありません。しかし、モンサントは陪審員の心を動かすには十分な「疑惑」でした。

毛髪に0.1ppmの残留をどう評価すべきか

小島 ここで水木さん以外にもう一人、現場の方のお話を伺いたいと思います。会場に北海道で畑作を営む片岡仁彦さんがいらしています。ラウンドアップの使用法と、もしラウンドアップが使用禁止になった場合の影響を教えてください。
片岡 北海道でソバ栽培畑作を営む片岡と申します。ラウンドアップは私の農場の場合、年1回、春に雑草が生えたところに散布しています。非選択性の除草剤で根まで枯らしてしまう使い勝手の良い農薬です。
以前から農業現場では使用してきましたが、他に同じグリホサート(成分名)を使用した製品が有るのになぜラウンドアップだけが標的にされるのか全く理由がわかりません。
ラウンドアップが禁止されたらという質問ですが、ほとんどの農家が困ることになると思います。発売から45年も経って日本のみならず世界各国で使用されている除草剤で、コスト面、長年の実績からくる信頼性、安全性の点から、ラウンドアップに代わる除草剤がないからです。
小島 現場の農家から、なぜラウンドアップだけが標的になるのかという疑問が出てきました。今、米国ではベビーパウダーの使用により女性が卵巣がんに罹患したという訴訟が4500件あり、最大で5000億円の懲罰的賠償、抗精神薬の副作用で男性の胸が大きくなったという訴訟(1万3000人)では最大で8500億円の懲罰的賠償が課されました。被告は巨大企業のジョンソン&ジョンソンです。なぜこういう訴訟が多発し、原告側が勝利するのでしょうか。

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