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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第12回 ワインツーリズムのまちづくりエッセイストの構想が実現ヴィラデストワイナリー(長野県東御市)

シルクからワインへ、地域振興の手法が変わった。千曲川流域では続々とワイナリーが誕生し、ワイン観光による地域創造が実現している。アカデミーや委託醸造の仕組みが、ワイン人材のインキュベーションに役立っている。長野県は日本を代表するワイン産地に発展しよう。

[1]千曲川ワインバレー構想による地域創造――エッセイスト玉村豊男氏のロマン

長野県を南北に流れる千曲川沿いの一帯でワイナリーの新規参入ラッシュが起きている。ワインの銘醸地、米カリフォルニア州ナパバレーを夢見る話も出るくらいだ。荒廃農地(養蚕時代の桑畑)がブドウ畑に変わり、ワインツーリズムの観光客も増えている。シルクがワインに変わり、元気な地域が創造されつつある。
長野県は「信州ワインバレー構想」(2013年策定)を推進している。県内4つのワイナリー集積地域、「千曲川」「日本アルプス」「桔梗ヶ原」
「天竜川」で、県内産ワインの振興施策を推進し、これが長野県下の地方創生に功を奏している。中でも千曲川ワインバレーは盛り上がりを見せている。もともとはエッセイスト玉村豊男氏のアイデアである。
日本が赤ワインブームに沸いた1998年、酒メーカーの宝酒造(株)(本社京都)もワイン事業への参入を計画した。当時、玉村氏は「TaKaRa酒生活文化研究所」の所長(95年から7年間)であったが、すでに91年に東御(とうみ)市に移住し、92年にワイン醸造用ブドウを植栽していた。一方、メルシャン出身の醸造コンサルタント「ウスケ」さん(麻井宇介、本名浅井昭吾)も同研究所の顧問に迎えられていたが、両者が一致して、玉村氏が絡んでいる所でワインを造ろうということになり、宝酒造のワイナリーを東御市に作ることになった。
当初は、麻井氏の指導でブドウを作り、それを北信濃(飯綱町)のサンクゼールワイナリーに委託醸造していたが、その時、麻井氏についてマンツーマンで醸造の指導を受けたのが、今日のヴィラデストの社長・小西超氏である。しかし、結局、宝酒造の計画は中止となり(注)、そこで、2003年、玉村氏が個人的にヴィラデストガーデンファーム&ワイナリーを立ち上げ(オーナー玉村豊男、社長小西超)、新しいワインプロジェクトが始まった。
注:宝酒造のワインプロジェクトのため、東御市祢津御堂地区に30haの土地が用意されたが(養蚕業の衰退とともに荒廃農地と化していた桑畑)、放置された(2001年)。その後荒れていたが、県営事業として再整備され、19年から新たにワイン団地としてブドウ畑になりつつある。27ha(路面等を除く)を約10軒で分けているので、1軒当たり3~6ha、比較的大きな圃場になる。

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