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土門「辛」聞

新たな芽吹きと繁栄の始まりに期待 基本技術励行で日本農業は蘇る

令和2年(2020年)は、十干(じっかん)が「庚(かのえ)」、十二支は「子(ね)」、干支は「庚子」となり、新たな芽吹きと繁栄の始まりとされ、新しいことを始めると上手くいくという伝えがある。令和という時代の本格スタートに相応しいとても縁起のよい年になりそうな気がしてならない。
今年も、商売繁盛に通じる面白くてためになる記事を送り続けるよう心がけるので、引き続きご愛読をよろしくお願いする次第。

農協後退で地域農業復権の兆し

―2020年代の農業界を占って下さい。
干支の庚子が示す通り、新たな芽吹きが起きることは間違いないな。平成の終わり頃からその兆候は出ている。高齢化や後継者不足による離農が増えてきたり、経営の行き詰まりによる離農も目立つようになってきたことだ。令和の時代では、この傾向にますます拍車がかかるだろう。プレーヤー交替のチャンスがきたということでは大歓迎。ポイントは、その農地が次に誰に受け継がれるかだ。それによって日本農業の状況がずいぶんと変わってくる。
従来、そうした農地を斡旋してきたのは農協だった。ところが農協組合員の農家に離農が相次ぎ、農協組合員の中から借り手を探すことができなくなってきた。最近は農協を利用しない生産者にも借り手として声をかけることになっていた。しかもこの春からは農協による斡旋が法改正で御法度になった。これがブレークスルーとなり地域農業の閉塞状況を打ち破ることができるかもしれない。令和に入って期待するのは、まずこの点だ。
―確かに新たな芽吹きですね。
具体的な例を紹介してみようか。富山の砺波地区といえば、水稲単作地帯で農協の力がやたらと強い地域だ。そこにA君(48)と呼ぶ仲間の水稲単作農家がいる。農協に頼らず独自販売。それで農協からは白い目でみられてきた。4年前は8haしかなかった。農地を増やそうとしても増えなかった。農業委員会を通して借りようとしたところ農協の横やりで断られたこともあった。
ところが最近、面積は15haに増えた。これは正直、驚きだった。その地域は集落営農組織がのさばっているところだ。農地が増えてきたのは3年前から。毎年2haずつ増えてきたという。話を聞いてみると、集落営農組織自体が高齢化してしまい、もはや農地を増やす力を失いつつあるというのだ。
農協の力が落ちたのだ。米の取扱高もじり貧。農協の決算書をチェックすると、5年前と比べて金額ベースで5%も減っている。その間に米価が上がった分を考慮すると、10%以上減らしたことになる。組合員がそれだけ農協離れを起こしているということだ。

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