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また復興庁の事業で、最新型の機械を無料で貸してもらうので、その準備として現在農機メーカーに基盤整備後の農機ラインナップを提案してもらい、行政と調整している。また、排水路は1.5倍に広げ、排水ポンプも1.5倍ほど強力なものにした。
「ここにはいろんな事業の話が入ってくる。それを拒絶するのではなく、どう折り合いをつけるかだと思う。この地域の農業にどれだけ貢献してもらえるか交渉することが大事だ」
農業経営とエンターテイメントの両立で再興モデルをつくる
目下、井田川地区の農地では、荒れた農地でも育つ綿花を生産している。この綿花の生産は2つの事業につながっている。ひとつは東京にあるオーガニックコットン製品の会社と風力発電を引き継いだ企業がコラボした「風で織るオーガニックコットン」というストーリー仕立てで製品化されていることだ。もうひとつは、綿摘みの体験イベントである。綿花の圃場は30aと規模は小さいものの、収穫期は9月から翌年1月まで続き手作業の綿摘みは手間がかかる作業だ。その作業を楽しいイベントに変え関東圏の人々に提供している。
広志氏は、東京で縁があった公益財団法人日仏会館からの支援の申し入れを活かして農産物直売所をつくるため、直売所を運営するNPO野馬土を立ち上げた。野馬土は支援してくれる関東圏の会員たちに情報を発信したり、地域の人々にコミュニティの場を提供したり、視察したい人々のために福島第一原発20 km圏内ツアーのガイドをしたりしている。ツアー参加者は年間3000人前後に上る。
「農業で食べていくのが自分の人生の目標だったので、そのために必要なことを一つひとつやってきた。エンターテイメント的なことも、ベースの農業がうまくいかないとダメだと思う。行政によく話すのは、ここは成功する可能性が十分あるということ。ここが成功すれば浪江や双葉も可能になると思う。そのためにもここを再興したいと言う人が集まってくる仕組みをつくりたい」
昆吉則は次のように農村経営者としての三浦親子の姿勢を語った。
「被災地の事業はきれいな物語が求められがちだ。そういうサービスを提供しながらそれだけに溺れず未来を見通している。お金が降ってくると人を狂わせることがあるが、それを資金に事業に投じ、他地域にビジネスモデルを示そうともしている。三浦さんのように経験に加え、新しい知識や知恵、人を巻き込んでいける力が農村経営者には必要だ」
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