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今、収穫機に2人、運搬する軽トラックに1人の3人体制でやっているのを、収穫機に1人充てれば済み、順調に行かないときに助っ人が入るとして1.5人体制くらいにしたいと構想する。男鹿市にある農場は、15haが1カ所に固まっており、圃場1枚が1haの広さだ。かつ作業所が圃場と隣接するため、公道を通らなくても作業できる圃場が多く、実験するのに向いている。
「立地条件でこれ以上のところはないだろう。秋になると、天気が悪いこともあるし、秋田なので輸送費がかかる。作業効率でどうカバーするかが勝負だ」
効率の面で条件がいいのは、圃場が一まとまりになっている熊谷もだ。本格的に生産を始めるつもりだったこの冬は、昨年の台風で浸水した影響で、一部しか収穫できなかった。今年こそ大面積を生産すると誓う。
価格については「中国産が高くなっているから、相場によってはうちの方が安いときもある」。産地リレーによる9カ月にわたる出荷で、「出荷期間を長くすることで、取引先とのつながりを強める」という狙いが実現する見込みだ。とはいえ、これに満足するわけではない。
「周年出荷をやりたい。場所や技術的に難しさもあるけれども、東北でも周年出荷をしているところがあると聞いている」
技能実習生受け入れで労働力を確保
ネギの生産を考えるうえでなくてはならないのがベトナム人技能実習生の存在だ。今、8人が働いている。
宮川と話すと、毎回話題に上るのが「どうやって人手を確保するか」「冬の仕事をどうするか」の二つだ。秋田県といえば豪雪地帯で日照量が日本一少なく、人口減少率と高齢化率が日本一高い。働き手の確保は年々難しくなっている。人手のかかる園芸を続けるのは並大抵のことではない。
「雪が降るまでにガっと稼いで、冬はストーブに当たって茶っこ飲んでいるのが、一番効率的な農業だと思う。通年雇用でなくて、仕事のあるときだけ来てもらって、冬になったら『また来年の春に』って言うのがね。ただ、今では通年雇用でないと来る人がいないから、冬場をつなぐためにどうするかとなる」
ハローワークで募集しても、応募者はほとんどいない。継続的に働き手を確保するには、外国人に来てもらうのも有力な選択肢だと宮川は何年も前から話していた。技能実習生を呼ぶにあたって、ベトナムの研修施設を見学し、自ら面接もし、17年から受け入れを始めた。
ネギで工場的な生産を追求する理由の一つが、技能実習生に労働力の多くを頼っていること。
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宮川正和
(有)正八
代表取締役
1962年11月生まれ。東京農業大学卒業後、大潟村第一次入植者の父のもとで就農。コメ政策が転換期を迎えていた94年に正八を設立。97年には稲作をやめ、野菜や花卉などで新しい経営を目指す。生産から加工、販売・流通のすべてにわたってコントロールできる農業を模索している。
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