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新・農業経営者ルポ

日本一安いネギを作る


13年から子実コーンの生産を始めた。昨年は大潟村で22haを生産、今年は27haに広げる。出荷先は出荷組合と能代市内の秋田牛の生産農家だ。輸入飼料に比べると、畜産農家にとっては自分で配合しなければならず、手間がかかる。現在の取引先は、国産飼料を使っていると消費者にアピールできることを魅力に感じているようだ。
子実コーンは、飼料用に加え、ドン菓子(注:圧力をかけた後に一気に開放して膨らませた菓子で、ポン菓子ともいう)やトウモロコシ茶など加工食品の原料にもなる。用途が広いので、今後に期待している。
白神山麓に12haの農地を借りており、山間地で圃場1枚が狭く、平場に比べて作業効率が落ちる。本当ならここで、機械化されていて手間の少ない子実コーンを栽培したいところだが、「熊が来るんだ」とのこと。周囲に迷惑がかかってはいけないので、ひとまず村内で面積を広げている。

窮地で起きる経営転換

本誌に登場してからの15年を「あの後、(日本海側から来た台風の塩害と雪害で)大きい谷間があって、今は二つ目の谷間の縁(へり)のところにいる感じかな」と振り返る。取得したばかりの熊谷の農地は昨秋、完全に水没した。「うちのネギ2、3本は東京湾に浮かんでいるんじゃないの」と冗談めかす。農地の復旧のため、月に何度か熊谷に通う。
「天中殺なんだよな」
天中殺というのは、占いでよく言われる干支で天が味方しないときのこと。今そのただ中らしい。だが、これからが運気が上向くタイミング。機械のさらなる改良、作業効率の向上、外国人の受け入れルートの多様化に向け、全速力で前進しているように見える。
「窮地の時に経営転換をするんだよ。それが続いて、会社が今まで存続してきたのかな。東尋坊のような崖っぷちで、常に足が半分出ているのよ。だから、ズリって滑って、たまたま枝が出ていたのに引っかかって何とか耐える」
そんな状態のときだからこそ、見えてくるものが必ずあるという。
「窮地で見えるものがあるわけ。それは説明してもわかってもらえない、上にいたら絶対見えない世界。そういう境地で見えたものを、どうやって次の形にしていくかが経営」
宮川が拠点に据える秋田県は、人口減少と高齢化が日本一進んでおり、出生率は日本一低い。宮川はこうした一見、悪条件であるものを「逆から見れば、世界の最前線、最先端」と捉える。
「世界はここを目指してくるわけだ。それを旧来のやり方で解決しようとしたら、結局、皆の後ろを追っていくことになるのよ。自分たちが一番しんがりだと思うんじゃなくて、反対から見て先頭だと考える。人が少ないんだから、少ないなりのやり方をしないと」

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