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【江刺の稲】
豊かさの中の「不安病」とは言い過ぎか
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第283回 2020年01月29日
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55年(昭和30年)、小学二年生の時に父の転勤で熊本県水俣市に移り住んだ。すでに水俣湾は新日本チッソ水俣工場が排出した工場廃液中の有機水銀で汚染されていたが、工場付近を除けば水俣の海は青く澄み沢山の魚が泳いでいた。真実を人々が正しく理解したのは少し後のことだった。
患者やその家族の不幸はいうに及ばず、市民もチッソ関係者も含めて長く困難な時代が続いた。それでも、有機水銀を含んだヘドロは壮大な国費をかけて浚渫され、網で囲われた水俣湾の魚も取り除いて埋め立てられた。やがて水俣湾でも昔と同様に漁が行われ、その魚は県外にも流通するようになった。
そして今では、被害者の患者団体はもとよりチッソ関係者も含めて水俣市民はこぞって新しい環境づくりに取り組んでいる。
患者やその家族の不幸はいうに及ばず、市民もチッソ関係者も含めて長く困難な時代が続いた。それでも、有機水銀を含んだヘドロは壮大な国費をかけて浚渫され、網で囲われた水俣湾の魚も取り除いて埋め立てられた。やがて水俣湾でも昔と同様に漁が行われ、その魚は県外にも流通するようになった。
そして今では、被害者の患者団体はもとよりチッソ関係者も含めて水俣市民はこぞって新しい環境づくりに取り組んでいる。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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