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【農業は先進国型産業になった!】
日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第13回(番外編)世界ワインは成長産業か?西欧先進国は消費減、輸出伸長
- 評論家 叶芳和
- 第33回 2020年01月29日
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■生産・消費・輸出入ランキング
最後に、各国の位置づけのため、ランキングを示しておこう(表8)。
フランスは今や、生産も消費も2位であって、1位ではない。輸出も3位である(注:金額ベースでは1位)。西欧ではスペインの躍進、消費では米国の増大が目立つ。スペインは輸出1位である。下剋上のごとく、変化が見られる。
ドイツ、イギリスは輸入の1位、2位である。中国は、生産は10位、消費5位、輸入5位である。
日本はトップ10のランキング表では、ようやく輸入で顔を出す。生産、消費、輸出ではいずれも姿が見えない。日本はワイン小国である(注:日本の数値は輸入果汁から造る「国産ワイン」を含む)。日本は世界のワイン動向から何を学ぶか。
*
本稿は、世界ワイン事情の統計的把握である。概観は得られたと思う。しかし、ワインビジネスに触れることは少なかった。ワイン企業の行動様式、特に価格形成など、産業組織論上の興味ある論点は別途の機会が必要だ。それでも、米国でさえ小零細規模のワイナリーが存在している(むしろ増えてきている)ことは、日本のワイン産業の未来論に示唆を与えるものであろう。また、ワインは製品差別化の大きい産業であることも、日本の小規模ワイナリーの未来に示唆を与えている。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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