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スマート・テロワール通信

庄内スマート・テロワール 4年間の実証実験を経て

2019年11月26日に開催された「庄内スマート・テロワール豊穣感謝祭」で、山形大学農学部から実証実験の報告があった。浦川修司教授は、スマート・テロワール構築に取り組む背景を次のように述べた。たとえば、国産小麦を使用しているパンは全体の3%、中華麺は全体の5%にとどまる。現代の食生活で需要がある畑作穀物の自給率が低い。その理由は海外に比べ日本の畑作穀物の単収が低いということが根底にある。そこで、山形大学農学部では、余剰水田や耕作放棄地を活用し、永久畑地化しながら多収高品質の畑作物を生産することを目指していると述べた。
以下、畑輪作体系と小麦加工品のラーメンの取り組みについて、豊穣感謝祭での報告に後日の取材内容を含めて報告する。

畑輪作体系を庄内の実情に合わせて見直し

中坪あゆみ助教は、地域の生産者の意見を取り入れながら、畑輪作体系の実証実験を進めている。この日は4年間の研究を踏まえ、新たな畑輪作体系の提案を示した。
当初、緑肥を含む5作物5年輪作(図1)で検証をしてきた。しかし、生産者の手間や経営面を考え、4年目からは緑肥を除き根菜を入れた5作物4年輪作(図2)で実証実験を始めた。根菜の赤カブ、ダイコン、ニンジンは収益性が高く庄内地域に需要があることを踏まえた選択である。
さらに将来に向け、ジャガイモの代わりに枝豆を入れた5作物4年輪作体系や4作物3年輪作体系を検討中だ。庄内では枝豆の生産量と消費量が多いが、生産現場では連作障害に悩まされている。そこで枝豆を輪作に組み込むことにより連作障害を回避しようという考えだ。また農機や保管選別設備への投資が必要なジャガイモ栽培を選択しない生産者への代替案でもある。さらに秋小麦に替えパン用の需要を見据えた春小麦を組み込むことも検討している。
「生産者と一緒に最適な形にしていきたい」
またジャガイモの加工品については、当初、輸入に依存しているフレンチフライと、国内で需要が伸びているポテトサラダを検討してきた。しかし、庄内にはこのようなジャガイモの加工会社がないことから、惣菜屋やスーパー、学校給食などでつくる惣菜の原料として生産していくことを目指す。
「一つひとつ手仕事で調理する人と地域の消費を支え、庄内の皆さんの期待に応えられるジャガイモの生産と加工を目指していきたい」

庄内産小麦を使用した麺で「酒田ラーメン」の魅力を発信

庄内では地元発祥の酒田ラーメンが人気で、こだわりの自家製麺やスープで提供する店が多い。花鳥風月もそのひとつだ。

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