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スマート・テロワール通信

庄内スマート・テロワール 4年間の実証実験を経て


花鳥風月では19年10月から11月にかけての約1カ月間、庄内産小麦を使用した「かぼすと貝出汁塩ワンタンメン」ラーメンを酒田本店、鶴岡店、山形北町店の3店舗で約1000食販売した。庄内産小麦は、山形大学農学部の高坂農場と協力生産者による松ケ岡生産圃場で生産したものだ。佐藤勇太社長は、地元スーパーのト一屋で東北ハムの畜肉加工品を見かけ、庄内スマート・テロワールの取り組みを知った。小麦も生産していることを知ると自社で庄内産小麦粉を使用した麺づくりをしようと考えたという。ひとつのモデルが他のモデルを生んだケースである。
「地域産の小麦で麺をつくれば、酒田ラーメンの魅力が大きくなると考えた」
19年産の小麦は、タンパク質含有量が麺の加工に適した10%に届かなかったことから、花鳥風月では従来使用している小麦粉に庄内産小麦の全粒粉を配合した。庄内産小麦ならではの香りや苦味などの風味を引き立てるよう、スープは塩味にしたという。また酒田の保育園では、「酒田のラーメンを考える会」による「酒田ラーメン給食の日」に合わせて庄内産小麦100%の麺でラーメンを提供し、食育にも一役買った。
佐藤社長も19年から小麦チームMD(マーチャンダイジング)のメンバーに加わり、小麦を100t生産するという庄内スマート・テロワールの目標を共有している。
「タンパク質含有量が低くても他品種と配合すれば麺にはできるが、タンパク質が10%以上になればもっと用途の幅が広がる。より多くの庄内産小麦を地域の人々に届けたい」
中坪助教によると、20年度は小麦の取り組みに注力するという。小麦の19年秋には庄内の3人の生産者の協力で20年産の秋小麦を約4haに作付けした。山形県内の製粉会社の最小ロットの量を納入するという条件を満たすため、原麦10t以上の収量を目指す。今後、小麦のタンパク質含有量などの加工適性や、春小麦生産とパン加工の研究も進める予定だ。

中田康雄の気づき

■すでに遅すぎるのかもしれない
温暖化による高温と乾燥がアマゾンやオーストラリアなどで大規模な森林火災を引き起こしている。
「北極圏のツンドラ地帯の気温上昇は温暖化を加速する。永久凍土が溶け、とじ込められていたメタンが大気中に出るからだ。メタンは二酸化炭素(CO2)よりも大きな温室効果をもつので気温はさらに上がり、より多くのメタンが出る。すでに北極海沿岸からロシアの永久凍土地帯の南限までの距離は、産業革命前に比べて約5分の1縮んだ」(日本経済新聞2019年12月26日付朝刊)

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