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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

米国(4) 連邦法のヘンプ完全合法化を受け新たに挑戦するケンタッキー州

米国では1970年の規制物質法によって、大麻草はスケジュール「最も危険性が高く、医学用途なし」と位置づけられていたため、長らくヘンプの商業栽培が全くできなかった(米国のヘンプの歴史は、本誌18年6月号を参照)。この状況を全米レベルで大きく変えたのが、「2014年産業用ヘンプ農業法(連邦法)」だった。
この法律により、大学等の研究機関と農業者および加工業者が参画する共同研究プロジェクトであれば、THC濃度0.3%以下の品種に限って栽培が可能になった。同法の施行を受けて州法を定めた州は19年度に13州が追加され、合計46州となり、各地でヘンプ栽培が急速に復活しつつある。いまだにヘンプを違法としている州は、アイダホ、サウスダコタ、ミシシッピ、ニューハンプシャーの4州のみである。

市場調査も兼ねた研究を14年の法改正により開始

米国中東部に位置するケンタッキー州は、人口約440万人で日本の国土面積3分の1の大きさをもち、農業・畜産業では、葉タバコ、バーボン・ウイスキー、競馬が有名な州である。1913年からフォードの生産工場があり、80年代にはトヨタが進出するなど、自動車関連の製造業が盛んな地域としても知られている。ヘンプに関しては、第二次世界大戦前のヘンプが合法であった時代には全米で最も多く生産していた地域で、歴史的に産業用ヘンプへの関心が高く、いまでも医療用大麻や嗜好用大麻を合法化していない。
ヘンプが禁止されてからタバコ産地となっていた同州では、「2014年産業用ヘンプ農業法」の制定を受けて、再びヘンプの生産地として復活すべく、ケンタッキー州立大学を中心にさまざまな研究プロジェクトが立ち上げられた。14年に作付面積13ha、生産者20人、加工業者9社からスタートし、5年後の18年には2711ha、生産者210名、加工業者72社にまで拡大した(表1)。同プロジェクトでは、市場調査を兼ねた販売まで実施し、18年には州内の加工業者が生産者に19億5000万円を支払い、281名のフルタイムの雇用を創出し、25億7000万円が投資され、加工業者の売上高は63億5000万円と報告されている。

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