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土門「辛」聞

国による減反枠配分がなくなって変わったこと、変わらなかったこと

国が減反事務から手を引いた「平成30年産問題」―生産数量目標の国による都道府県への配分、分かりやすくいえば、減反枠の配分を2018(平成30)年産でやめたことである。20年産で3年目を迎える。まるで変化のなかったものと、変化の兆しがみえてきたものがある。中間総括してみたい。
19年11月に示された20年産「米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針」(基本方針)で説明してみたい。そこで示されたのは、(1)18~19年の需要実績、(2)全国の19~20年及び21年の需要見通し(推計値)、(3)19~20年及び20~21年の需給見通し、の3点。
18年産までは、これら3点を踏まえて最後に「都道府県別の生産数量目標(需要量に関する情報)及び自主的取組参考値に関する事項」という項目があった。これが生産数量目標の都道府県への配分のことだった。18年産に向けた17年11月の基本方針で、この項目が排除された。
18年産以降の生産調整の取り組みは、19年11月の基本方針で次のように示された。
「行政による都道府県別の生産数量目標等の配分は行わないこととし、国が策定する米穀の需給の見通し等の情報を踏まえつつ、生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産に取り組むとともに、水田の有効活用により自給率向上を図るため、主食用米の需要拡大、米粉用米や飼料用米等の生産・利用の拡大に取り組みます」
都道府県別の生産数量目標等の配分が完全になくなったというわけではなかった。国の基本方針が示す、需要実績、需要見通し(推計値)、需給見通しのデータを踏まえて、都道府県が「生産目安」を新たに策定、市町村を通じて、集落、生産者に配分していく都道府県主体の減反の仕組みに移行した。
平成30年産問題の説明が長くなった。中間総括の結論を先に示しておこう。まるで変わらなかったのは相も変わらぬ補助金で誘導する減反強化路線。変化の兆しをみせたのは増反組と減反組の二極分化傾向がより鮮明になりつつあることだ。後者の説明から始めたい。

東北から九州へ向かう米輸送トラック

増反・減反組の二極分化傾向という事態は、あるかなと何となく思っていたが、あらためて統計資料で確認すると、想定以上のサプライズだった。統計部作成の水稲収穫量調査で18年産のビフォー&アフターを比較してみた。増反・減反の傾向をつかむには、主食用米の作付面積での比較がよりクリアな結果を得ることができる。ビフォー(17年産)とアフター(19年産)の比較結果は次ページ表1の通りだ。

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