ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信

1941年の世界地図にはアメリカ本土がない!?(宮井能雅)

目の前に世界地図がある。多少色褪せた世界地図に当時の不思議な世界感が見え隠れする。 山手線の車窓から到着間際に新橋のSL広場側を見ると、何か催し物をやっているのが見えた。
1年前その日の夕刻、怪しき者が集まり近くの個室で食事をすることになった。待ち合わせの時間まで少しあったので、暇つぶしにその催し物をやっているSL広場を探索することにした。
そこには古文書屋がおよそ30店ほど集結して、その一角だけが独特のかび臭さをカモシ出していた。空間は、大きく二つに分かれていた。夏目漱石、芥川龍之介、太宰治、谷崎潤一郎など、会ったことも会おうと考えたこともない人たちの文部科学省推薦の古書があり、もう一つの空間では戦記物を多く扱っていた。
大東亜大戦に参加した者たちの生き様を描いた『丸』は、100円ショップでいつも読んでいたので購入する気にはなれなかった。ラバウルの魔王と呼ばれた西沢広義、ラバウルの撃墜王・大原亮治、加藤隼戦闘隊で旭川出身の加藤建夫、一撃離脱の岩本徹三、プロペラトルクを利用した左ひねり込みの坂井三郎などの戦闘機もののエースパイロット系は昔からたっぷり知っているし、男子の闘争心を奮い立たせてくれるのは良いが、あそこは立たせてくれないので今回はパス。古書と言っても新作の古書などあるはずもなく、まぁ、こんなものだと思っていた。
一番暇そうなコーナーを覗いてみた。地図ね~、江戸時代後期の物は持っていたので食指が動くことはなかった。小さなケースに世界地図っぽい物があった。世界地図が古書になるのか? この地図はいつ頃の地図なのか興味があったので、店主の許可をもらいビニールからひっぱりだし左隅の小さい文字を凝視した。な、なんだって! 昭和16年(1941年)2月だって。そうなると俄然興味が湧いてきた。はい、購入しました。3500円なり。
会食も終わり、ホテルに戻って、先ほど購入した世界地図を眺めた。さらっと見ると右側にあるはずのアメリカ本土がない。太平洋の西側にはサイパン、パラオ、マーシャル諸島など多くの島々があり、以前は30年間くらいドイツが支配していた領土が、第一次大戦後には日本領になっている。よく見るとグアムだけが真円状でアメリカ領になっている。調べてみると20世紀になる寸前のスペインとの戦いでアメリカが勝ったからなのだが、別の地図を見るとグアムの西側、フィリピン側にパックマンの口のように回廊になっている物もある。事情は分からないが、その時からアメリカと日本の桁がずれ始めたのかもしれない。

関連記事

powered by weblio